はじめてのアーユルヴェーダ vol. 24「消化力、代謝力を...
2024.11.4
2018年から隔月で開催している「VEGE & SPICE TABLE マリさんのアーユルヴェーダ食堂」、2020年からはオンライン講座に切替えてお届けしています。
今回は、講師の原田真理さんによる、アーユルヴェーダ基本講座。前回の記事アーユルヴェーダが教える食べ方のルール「食べ方7ヵ条」に続き、第三回目は「マリさんのレシピに登場するスパイスと食材」についてのお話を伺います。オンライン講座にご参加いただく方は、予備知識としてご活用ください。
アーユルヴェーダ・スパイス料理研究家
インド政府公認 アーユルヴェーダ ライフスタイル コンサルタント
マリのアーユルヴェーダクッキングサロン主宰
今回は、私がご紹介するアーユルヴェーダ料理のレシピで使う基本の食材について、ご紹介させていただきます。
基本のスパイス7種類
・クミン
・コリアンダー
・ターメリック
・カイエンパウダー
・ガラムマサラ
・ブラックペッパー
・マスタードシード
オイル
・ギー
・ひまわりオイル
・ココナッツオイル
・太白ごま油
カレーリーフ
ダル(豆)
・ムングダル
・マスールダル
ココナッツミルク
青唐辛子
ヒーング
バスマティライス
スパイスというと「辛い」とか「カレー」といったイメージが強いと思いますが、味や香りは様々です。使っている植物の部位も、葉・茎・樹皮・根・根茎・花・蕾・種子・果実・果皮など、たくさんの種類があります。
日本では調味料や嗜好品とされていますが、インドの家庭やアーユルヴェーダクリニックでは薬として扱われていて、様々な薬効が期待されています。さらに、アーユルヴェーダの食事では、何を摂るかよりもきちんと消化をすることが重要と考えることから、消化増強、食欲増進の効果を促すスパイスが欠かせません。また、一度の食事に6味(甘味 ・ 酸味 ・ 塩味 ・ 辛味 ・ 苦味 ・ 渋味)が揃っていると、3つのドーシャのバランスが取れてとても満足感が得られると考えるため、スパイスはそれを可能にしてくれるアイテムにもなります。
ただし、効能がたくさんあるということで、たくさんの種類・量のスパイスを使おうとする方がいますが、これは間違いです。まずは、自分の体質(ヴァータ・ピッタ・カパ)をきちんと把握して、それに合わせてスパイスを使うことが大切です。
はじめは、使い方に迷うかと思いますが、まずは1~2種類のスパイスから日々の食事に取り入れたり、信頼できるレシピでお料理をたくさん作ったりしているうちに、徐々に慣れてきます。
セリ科の一年草
様々な国の料理に使われ、インド料理にも欠かせません。
シードは熱したオイルで弾けさせて、香りと薬効を引き出します。炒って挽いたものはサラダなどに、パウダーは味付けに使います。
消化促進、栄養吸収、代謝促進、駆風作用(お腹のガスを出す)などの効果があり、腹痛や下痢などの薬としても用いられます。直射日光を避けて密閉容器で保存します。
セリ科の一年草
クミンと同様に世界中で使われ、インド料理でも欠かせないスパイスです。
葉は、香菜、パクチーと呼んだ方が親しみやすいでしょうか?消化促進や解毒作用としても用いられます。
食欲増進、消化促進、芳香の効果があり、吐き気や咳、便秘などに良いとされています。
シード、パウダーは直射日光を避けて密閉容器で保存。葉は、水で湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで包み、ビニール袋で保存します。
ショウガ科の多年草
インド料理の黄色はターメリックの色です。 他のスパイス同士をまとめてくれる役割があり、日本ではウコンとして親しまれています。苦味と土臭さが残るので必ず火を通して使い、料理の仕上げに足すのは避けてください。
抗炎症作用、止血作用、血液浄化、抗菌作用、解毒作用など様々な薬効が期待できます。また、肝機能を助ける働きもあります。昔から染料としても使われていたりもします。直射日光を避けて密閉容器で保存。油性のためプラスチックより瓶保存が適しています。
ナス科トウガラシ属
種類がたくさんあり、辛さの度合いも様々です。いろいろな国の料理に使われます。消化促進や血行促進効果があり、発汗作用により気化熱で身体を冷やすため、熱い地域には欠かせないスパイスです。ホールは鷹の爪とも言います。スーパーなどでは、いろいろな名前で売られています。レッドペッパー、レッドパウダー、チリペッパー、チリパウダー、カイエンペッパー、カイエンパウダーなど表記が統一していないため、必ず原材料が唐辛子100%のものを選んで下さい。直射日光を避けて密閉容器で保存。
ミックススパイス。基本のスパイスは、シナモン、クローブ、ナツメグ、そこにお好みのスパイスを合わせ、各家庭ごとに調合が異なります。調理の最後に加え、調理中に飛んでしまったスパイスの香りを補ったり、味を整える役割があります。市販品の中にはターメリックが入っているものがありますが、調理の最後に加えるスパイスではないので気を付けましょう。直射日光を避けて密閉容器で保存します。
世界中で最も使われているスパイスではないでしょうか。辛味だけでなく、さわやかな香りも特徴です。消化促進、食欲増進のほか、殺菌作用、防腐作用もあります。直射日光を避けて密閉容器で保存します。
香ばしい辛味があり、南インド料理でよく使います。テンパリングの際、パチパチと勢いよく弾けますので、やけどに気を付けて下さい。シードをすりつぶすと、私たちにも馴染み深い辛子(からし)になります。食欲増進、消化促進や抗炎症作用があります。直射日光を避けて密閉容器で保存します。
ここまでが、オンライン講座のレシピで使う7種類の基本のスパイスです。これを選んだ理由は、手に入れやすいということ。そして、クミン、コリアンダー、ターメリック、カイエンパウダーの4種類だけでも基本のカレーが作れるということ。毎日のお惣菜に使える基本のスパイスなのでぜひ揃えてみてください。
さらに慣れてきたら、カルダモン、シナモン、クローブの3種類を追加してみましょう。香りが良く、お料理の幅がぐんと広がります。
無塩バターから、水分、たんぱく質などの不純物取り除いた、100%純粋な乳脂肪分です。アーユルヴェーダでは、お料理以外にもホームレメディや、様々な病気の治療にも欠かせない、最も有益なオイルとされています。野菜を炒めたり、魚のソテーに使かったり、ホットミルクやターメリックミルクに入れたり。もちろん焼いたトーストに塗るのもおすすめです。ちょっとした火傷にギーを塗り込めば治りが早くなります。市販のものもありますが、家庭でも簡単に作れるので、ぜひ試してみてください。
ギーの作り方
クセや香りがないので、どんなお料理にも適しています。アーユルヴェーダの観点からは、どのドーシャも乱さないので、オススメのオイルです。
甘い特徴的な香りで食欲をそそります。南インド料理にはよく使われます。冷性なので、ヘッドマッサージや、ピッタ体質の方のオイルマッサージにも使います。
南インド、スリランカ料理にはかかせないハーブです。葉をテンパリング(熱した油の中に入れて香りを移す)して料理に加えると、食欲をそそる爽やかな香りがします。乾燥したものも売っていますが、香りが弱いため、生葉を使うのがおすすめです。日本でも育つので、ぜひお家で育ててみて下さい。夏にたくさん収穫したら、冷凍保存をしておけます。食欲増進、解熱作用、滋養強壮、消化促進、白髪予防などの効能があります。
ダルとは豆や豆料理のことです。スープやお粥、炒め物などに使います。
ダルの中でも最も消化が軽く、インドの家庭料理ではよく使います。皮付きのものと、皮なしのひきわりのものがあり、皮なしものはお腹の調子が悪い時や病気の時にもお粥にして食べられます。
凸レンズの形に似ていることからこの名前が付いています。いろいろな国のお料理に使われます。栄養価が高く、調理がしやすいのが特徴です。
アーユルヴェーダでは、豆はガスを発生させるので、たくさん摂ることは勧めていません。その中でも、ムング豆は比較的に消化に軽く、ドーシャに悪さをしないので、食べるならムング豆がおすすめです。また、ひよこ豆などは消化に重いので、全く勧めません。
熟したココナッツの実の内側に層状にある固形胚乳から得られるミルク状の食材。
インドでは、生のココナッツを削り絞った汁を使いますが、日本では手軽に使える缶詰か、ココナッツパウダーをお湯で溶いたものを使います。身体の中の余分な熱をとってくれたり、体を潤してくれる効果などがあります。
ナス科トウガラシ属
唐辛子が赤く熟す前に収穫したものです。スッキリした辛さが特徴です。ドーシャが悪化するので、ピッタ体質の方は極力控えて下さい。
セリ科の二年草
茎からとれる樹脂状のもの。インドでは塊りを削ったり、砕いて使います。日本に入ってきているものは、パウダー状になったものです。強烈な匂いがしますが、火を通すと香り味ともに深みがでます。お腹に溜まったガスを排出してくれる作用があるので、豆や野菜料理にはかかせません。インドでは、動物性の食事を摂らないベジタリアンのうま味をプラスさせるのに重宝します。
インディカ米(長粒種)
香りが高く、香りの女王と言われるお米です。日本のお米に比べて水分が少ないので、消化に軽いのが特徴です。ふつうにお米を炊く要領で、炊飯できます。
ホールスパイスをつぶすのに使います。調理の直前に自分でスパイスを粉にすると、香り豊かなお料理になります。
タルカ(テンパリング・フォドニ)のための鍋です。スパイスや豆をオイルで熱し、料理の仕上げに熱いまま加えると風味と香りがアップします。ない場合は、普通のフライパンで代用できます。
南インドやスリランカで使われる鍋。日本の土鍋のように、使い始めは米のとぎ汁などを使って目止めをします。