年末年始のごちそうをお手軽に、ビオ・マルシェの年末・2025...
2024.11.1
金沢大地は、金沢郊外や奥能登に位置する広大な農地(約180ha)で、米、大麦、小麦、大豆、蕎麦、野菜、ぶどうなどを有機栽培しています。国産の有機原料にこだわり、恵まれた自然の中で地域資源の魅力を発信し、生産者の顔が見える商品作りを大切にしています。
今回は、「わたしのぬか床」の季節再開に合わせて、ビオ・マルシェの商品担当が金沢大地を訪問しました。わたしのぬか床は、毎年好評のぬか漬けキット。熟成されたぬか床の状態で届くので、時間も手間もかかるぬか床づくりが不要で、届いたその日から野菜を漬け始められます。
訪問した5月下旬は田植えの時期で、きれいに整えられた田畑が一面に広がっていました。訪問当日は、翌日からの田植えに備え、田んぼの土起こしの作業をしていました。
金沢大地の設立は2002年。1997年から有機農業に取り組んでいた創業者の井村社長が、自身で育てた有機大豆で豆腐を作ることから始まりました。その後、お米・小麦・大麦などの栽培など、どんどんオーガニックの畑を広げてきました。最近では、有機栽培してきたぶどうでワインづくりも始め、ワイナリーの開業や、国産有機の新ブランドの立ち上げなど、地元石川にとどまることなく活動の幅がますます広がっています。
写真左:今回ご案内いただいた菅野さん 写真右:営業部 大橋さん
有機米の田んぼや有機大麦の畑もご案内いただきました。コウノトリの保護活動にも協力しており、田畑の横にはコウノトリを呼び寄せるための巣塔が設置されていました。
写真左:有機大麦の畑 写真右:コウノトリの巣塔
さっそく、「わたしのぬか床」について、開発担当の前河さんにお話を伺いました。
初代ぬか床製造責任者の前河さん
「わたしのぬか床」の開発が始まったのは、約8年前。「地元の原料を活かして何か良いものが作れないか」と考えていたところ、漬物屋の師匠に出会ったのがきっかけでした。
当初は、機械も使わず、樽に入ったぬかを手でかき混ぜるところからのスタート。年間に作れるのは、わずか約1,500個でした。その後、試行錯誤しながら製造方法を工夫して一部機械化することで、現在は年間約18,000個を製造しています。それでも、ほとんどの工程は人の手で行われており、大量生産できるものではありません。微生物の働きによる昔ながらの方法で、じっくり時間をかけて製造しています。
「わたしのぬか床」の原材料は、いたってシンプル。国産有機米の米ぬか、石川県の食塩、北海道産の昆布、島根県の有機唐辛子です。
米ぬかには、金沢大地の有機米ぬかのほか、ビオ・マルシェの有機米ぬかも使われています。前河さんによると、「ビオ・マルシェの米ぬかが、美味しさの秘密なんです」とのこと。米ぬかの粒子が細かすぎると、ぬか床の粘度が強くなりすぎ、粒子が粗すぎても粘度が弱くなりまとまりません。その点、ビオ・マルシェの有機米ぬかは、細かすぎず粗すぎず、ぬか床づくりにぴったり。製造にあたって試行錯誤を繰り返すなかで、ビオ・マルシェの有機米ぬかが「わたしのぬか床」には欠かせないものになったそうです。
食塩に使っているのは、奥能登の海水塩です。一般的には、海水を直火で煮詰めて濃縮する製法で作られる海水塩が多いのに対し、直火をあてず、低温で蒸発濃縮させて結晶化させています。40~50℃の湯煎でじっくり何日も時間をかけて結晶化された塩は、ミネラルのバランスの取れた、穏やかな味わいです。
また、昆布の選定にも様々な道のりがあったようです。ラウス昆布で試した時には、ぬか床の中に溶けて消えてしまったこともあったとか。多くの昆布から選び抜かれたのは、道内産の昆布でした。香りと旨味が強いうえに、発酵後も形がしっかり残ります。
そして、唐辛子には、ビオ・マルシェでもおなじみ、島根県・やさか共同農場の有機唐辛子を使っています。さらに、捨て漬けには、国産有機野菜を使っています。
捨て漬けとは、くず野菜を入れてぬか床の発酵を促進することで、ぬか床づくりには欠かせない工程です。米ぬか同様に、金沢大地で栽培された野菜のほか、ビオ・マルシェの有機大根や有機きゅうりが使われています。規格外で出荷できない野菜も無駄にすることもなく、ぬか床の旨味となって活かされています。
ぬか床の製造は、仕込む前日に食塩水を作るところから始まります。
米ぬか・塩・昆布・唐辛子をしっかりと混ぜ合わせたあと、前日から仕込んだ食塩水を入れて練り込んでいきます。塩を分けて入れることが、ぬか床の塩分濃度を均一にするためのポイントだそうです。
米ぬか・塩・昆布・唐辛子を混ぜている様子
食塩水を加えている様子
ちょうどよい粘度を見極め、樽に仕込みます。
1回の製造で仕込めるのは、およそ7樽分。1樽からは約50個分の「わたしのぬか床」が作られるとのこと。大量生産が難しいことが、ここからも伺えます。
樽に仕込んだ後は、捨て漬けするための野菜をひとつひとつ丁寧に水洗いし、ぬか床に混ぜ込みます。この日はちょうどビオ・マルシェから届いた有機大根が使われていました。
捨て漬けには、「水分が多くて、繊維質な野菜」が向いています。大根やきゅうり、かたうり、白菜などが甘みもあっておすすめだそうです。捨て漬け野菜を混ぜ込んだ後は、いよいよ発酵のため25℃前後で湿度を一定に保たれた温室で育てられます。
週3回の天地返しを繰り返し、発酵の進み具合を確認しながら約5~6週間、愛情込めて見守ります。同じタイミングで仕込んだものでも、樽ごとに発酵の仕方は違いが出てきます。ひとつひとつ様子を見て空気を入れる量を調整しながら熟成具合を見極めるには、長年の経験が必要です。
捨て漬け野菜をたっぷり入れて、しっかりと天地返しを繰り返します。そうすることで、乳酸発酵をさせながら、野菜の旨味をぬか床にしみこませていきます。天地返しの作業について伺うと、「週3回の天地返しは本当にヘトヘトになります。」とのこと。かなりの重労働であることがうかがえました。
天地返しをしっかり行い、ぬか床を「完熟するまで熟成」させていることこそが、美味しさの最大のポイントです。完熟したぬか床は、乳酸菌が増えて香りがしっかりと感じられるのが特徴です。米ぬかの油分と甘み、そして捨て野菜の旨味、それぞれの原材料をじっくり発酵させていることで、「わたしのぬか床」が完成しています。
保温室には、製造日ごとにグループ分けされた樽がたくさん置かれています。
ぬか床が完熟したら、役目を終えた捨て漬け野菜は取り除きます。その後、ぬか床を袋詰めして商品として出荷され、ようやく私たちの手元に届きます。
袋詰めされたぬか床
「美味しく作る秘訣は、何よりも感謝をこめて作ることです。」と熱く語る前河さんからは、ぬか床への愛情が溢れ出るようでした。自宅に届いたらすぐに美味しいぬか漬け生活が始められるのは、それまでにたくさんの時間をかけて育てられたからこそ。今回の訪問でそれを実感して、「わたしのぬか床」への感謝と愛情の気持ちが深まりました。
「わたしのぬか床」は金沢大地でしっかりと育てられているため、自宅で“育てる”必要はありません。塩加減、水加減、捨て漬け不要で、野菜を入れて冷蔵庫で保存するだけ。買ったその日から美味しいぬか漬けが作れます。また、「わたしのぬか床」には、漬け方やお手入れ方法などが記載されている、細かい説明書付き。初心者の方でも気軽に始められ、冷蔵庫にひとつあるだけで、野菜もたくさん食べられます。
今年の夏は「わたしのぬか床」で、ぬか漬け生活をはじめてみませんか。
ぬか漬けの作り方、お手入れ方法、よくあるQ&Aをご紹介しています。初心者の方は、こちらがおすすめです。
ぬか漬け経験者の方は、ビオ・マルシェの有機炒りぬかを使って、一からぬか床を作ってみるのもおすすめです。保存袋を使って簡単ぬか床の作り方をご紹介しています。
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