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フレンチ一つ星・大土橋シェフ、稀少な国産菜種油を製造する肥後製油(熊本県大津町)を訪問

肥後製油の外観

2024年4月、フレンチ一つ星・大土橋シェフとともに、熊本県大津町にある「肥後製油」を訪れました。肥後製油は明治42年の創業以来100年以上に渡って、阿蘇の麓の町で雄大な景色が広がるこの地で、油づくりに取り組んでいます。看板商品の「国産菜種油 初代弁蔵」はシェフのお気に入りで、レストラン「クラフタル」でも使っています。今回は、創業4代目社長の髙木浩二さんと取締役で奥様の髙木希三子さんにお話をお伺いしました。

肥後製油がこの地で創業した理由は、阿蘇に原料があり、動力となる川があったこと。昔は、水車を動力として活用していたそうです。

肥後製油の周りを流れる川

ところが、2016年4月の熊本地震で当時の設備が全て壊れてしまう事態に。廃業も考えるほどでしたが、ビオ・マルシェ含めて、自社の商品を求めている方がいるならばと、もう一度やり直すことを決断しました。その際、もう一度原点に立ち返って、昔ながらの製法でやっていこうという意思を込め、同社の商品に「弁蔵」という創業者の名前をつけました。今では近隣の生産者の方と協力して、原料となる菜の花の栽培にも取り組んでらっしゃいます。大土橋シェフも「弁蔵」の製造方法にとても関心がある様子です。

肥後製油の髙木社長と大土橋シェフ

まずは、事務所併設の工場見学です。訪問当日は職人の方が収穫した菜種を焙煎し、搾油している真っ最中。工場の中から香ばしい香りが漂っていました。原料となる菜種100㎏からは油が30㎏製造できて、残りは肥料として活用しています。油の精製については、一般的には効率の観点から薬品を使うことが多いですが、肥後製油では水と酢だけを使い、3日かけてじっくり精製しています。また、精製後の検査も独自の厳しい基準を設けています。例えば、①加熱した際に泡が出る、②加熱し、160℃までの段階で煙が出る、といった場合は精製をやり直しています。ここまでこだわっているからこそ、よい商品が生まれる。大土橋シェフも納得です。

肥後製油・髙木社長と大土橋シェフ2
髙木社長から製造工程の説明
大土橋シェフ 菜種を手に取る
大土橋シェフ、焙煎後の菜種を味見
焙煎機から出てきた菜種
焙煎後の菜種
焙煎後の菜種

再び事務所に戻り、原油から商品が出来上がるまでの工程を詳しく説明いただきます。原油の純度を高めるために水と酢を混ぜる「湯洗い」という工程を最低8回は実施しており、ここまでやっているところはほとんど無いとのこと。工場の機械も毎回洗浄しており、とても清潔に保たれていました。大土橋シェフも、元々はフランス産の菜種油を使っていたそうですが、「弁蔵」に出会ってからは、他の油は使えないと感じるほどになったそう。

最後に、事務所から車で20分程移動し、仕入れ先の菜の花の圃場を見学。圃場によって収穫量は異なるものの、1反あたり100~150㎏の菜種が収穫できるそうです。まもなく収穫を迎える菜の花が高く咲いています。「フランス料理ということもあり、これまで調味料含めてフランス産のものを意識して使っていたが、国産の良さに気づくようになってきた。本日聞かせていただいたお話も含めて、作り手の想いをお客様に届けられる料理を作っていきたい」と大土橋シェフ。新たな出会いを生かしたレシピが楽しみです。

Tales from Organic Farm フレンチ一つ星 大土橋シェフとビオ・マルシェの有機野菜

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