年末年始のごちそうをお手軽に、ビオ・マルシェの年末・2025...
2024.11.1
ビオ・マルシェで販売するパスチャライズ牛乳の製造元の1つ、飛騨酪農農業協同組合を訪問しました。飛騨酪農農業協同組合は、岐阜県北部地域の高山市・下呂市の酪農家が運営する、酪農専門の農業協同組合です。
北アルプスの山々に囲まれ、複数の水系に恵まれた自然環境のもと、酪農家の方々は真心と愛情を込めて乳牛を飼育しています。飛騨産100%の生乳を「安心・安全・おいしい」をテーマに、「搾りたてを食卓に」の思いで製造・販売しています。
飛騨酪農農業協同組合では、約20年前から酪農家に働きかけ、非遺伝子組み換え飼料での飼育をスタートしました。現在は、飛騨酪農農業協同組合に属している14軒のうち、5軒が非遺伝子組み換え飼料で飼育を行っています。非遺伝子組み換え飼料で飼育する牧場の多くは、1軒20~50頭ほどの小規模酪農家です。そのなかで今回は、「苅安牧場」に訪問し、牧場を運営している野添さんにお話を伺いました。
苅安牧場は、北アルプスの雄大な山に囲まれた牧場です。牛舎の隣にはスキー場があり、スキーシーズン以外は牧草地と放牧地として活用しています。放牧のためには、広大な土地が必要になります。そのため場所の確保が難しく、日本国内で放牧を行っている酪農家は希少です。
苅安牧場では、冬は牛舎で、夏は放牧をメインに牛を育てています。また、夏場に遊休地となるスキー場を活用することは、土地の有効利用にもつながっています。
苅安牧場 野添一幸さん
牧場を運営するのは野添さんです。ご両親が酪農を始められて以来48年、この土地で酪農に取り組んでいます。長野の農業専門学校を卒業後、牧場を継ぎました。現在は、野添さんご夫婦とご両親の4名で運営されています。飼育する乳牛(ホルスタイン)は40頭です。乳牛の他に、食用の和牛も育てています。
苅安牧場では、春と秋は日中に放牧、夏は夜間に放牧しています。放牧中の牛は、自然に生えた牧草を食べ、山の湧き水を飲み、のびのびと生活します。牛が自由に動き回りストレスなく過ごせる分、牛舎での飼育に比べて牛の怪我や脱走のリスクも伴うため、飼育の面では大変なことも多くあります。
とはいえ、牛にとってはメリットがたくさんあります。放牧によって足腰が強くなり、長生きにつながるそうです。足腰の強さは、出産の面でも効果を発揮します。
一般的な牧場では、母牛は年を重ねるにつれて足腰が悪くなるため、出産回数は3回ほどが平均と言われていますが、苅安牧場では一番多産な牛で6~7回出産することもあります。およそ700㎏まで成長するホルスタインが、丘陵地にある牧場で歩き回ることは相当な筋力トレーニングになりそうです。
また、牛が自然の餌を食べ、ストレスフリーで健やかに育つこと。これが牛にとっても良いことであると考え、手間のかかる放牧での飼育を続けています。
牛が牛舎で過ごす様子
牛の健康管理で最も注意していることは、「乳房炎」にかからないようにすることです。1頭が乳房炎にかかってしまうと、周りの牛に感染してしまう恐れがあるため、予防対策が非常に重要とのこと。
その対策の1つとして、牛舎には「おがくず」をたくさん敷き詰めています。牛が座って休む際、乳房が地面に接すると、怪我や感染のリスクが高まります。おがくずがあると、クッション代わりになって、乳房を保護してくれます。また、牛が歩く時の怪我や、糞が飛ぶのも防いでくれます。
ここで使うおがくずは、飛騨地方の木からつくっています。地域の資源を有効活用しながら、衛生的な生活環境を整えることで、牛の健康を守っています。
自社の牧草を乳酸発酵させて作った飼料
野添さんは、なるべく国内のものを牛たちに与えたいと考えて、海外から仕入れた非遺伝子組み換えの飼料と一緒に、国産飼料も与えています。飼料には粗飼料(草あるいは草をもとに作られた飼料)と穀物飼料の2種類ありますが、現在は粗飼料の約半分を地元産で賄っています。
粗飼料として与える牧草は、オーチャードやリードキャナリーといった種類を育てています。牧草地には、牛の糞を発酵させた堆肥を撒くことで資源を循環させています。ちなみに、大きく育つリードキャナリーは収量が多いですが、牛たちに好まれるのはオーチャードだそうです。
また、手づくりしている粗飼料もあります。6月、8月、10月に苅安牧場の牧草地から刈り込んだ牧草に乳酸菌を入れ2か月ほど発酵させて作った発酵飼料です。実際に見せていただきましたが、漂う香りは漬物そのものでした。他にも、高山市の飼料米を発酵させて作った発酵飼料などを与えています。
こうして、自然豊かな飛騨高山の資源を最大限に活用し、地産地消で循環型の酪農に取り組んでいます。
十分な乳量を確保するためには、粗飼料だけでなく穀物飼料を与えることも必要です。乳量が多い牛は、他の牛よりも栄養を必要とするため、穀物飼料を多めに配合しています。日々、それぞれの牛の健康状態や乳量などの様子をみながら、飼料を配合するのも野添さんの大事な仕事です。
夏場は放牧により青草を食べ、水をたくさん飲みます。そのため、乳質や風味にも違いが出ます。夏はサッパリとした味に、冬は乳脂肪分が高く濃厚な味になります。
母牛が食べる飼料や過ごし方がそのまま牛乳の味に表れるため、その環境を整えてケアすることが、美味しい牛乳ができるためにいかに重要かが伺えます。私たちも、夏も冬もそれぞれの季節の味を感じながら、母牛からいただくお乳を大事に味わいたいものです。
各牧場からタンクローリーで搬入された生乳を受入検査する様子
それぞれの牧場で搾乳された生乳は、タンクローリーで工場に運ばれます。受入の際には、タンクごとに時間・温度・乳脂肪分・抗生物質の有無を確認する検査を行います。
抗生物質の有無を確認する様子
生乳の受け入れ検査の記録表
指定された項目を確認・記録し、適合するもののみを受け入れます。
この日一番早い受け入れ時刻は、早朝の5時30分でした。
非遺伝子組み換えの生乳が貯乳されているタンク
受入検査を通過した生乳は、一旦、種類・ロット別にタンクに貯乳されます。
現在、NON-GMO(非遺伝子組み換え)の生乳のタンクは、5トンと10トンの2つです。
殺菌データシステム
次に殺菌の工程です。殺菌は低温殺菌牛乳と高温殺菌牛乳それぞれのラインに分けて行います。タンク内の温度がしっかりと上がっているかなど、システムで徹底管理しています。
低温殺菌牛乳は、生乳の自然な風味・性質、そして栄養を生かす温度で殺菌(パスチャライゼーション)した牛乳のことです。パスチャライズ牛乳とも言います。
飛騨酪農農業協同組合の低温殺菌牛乳の殺菌温度は、65℃で30分です。低温でゆっくりと殺菌することで、タンパク質が熱変性しないため、胃の中の消化酵素により固まり、お腹の中でゆっくりと消化されます。そのため、消化にやさしく、栄養吸収が効率的な点が特徴です。焦げ臭さがなく、サラッとして飲みやすい牛乳です。
殺菌後の生乳タンク
殺菌後、パスチャライズ牛乳は「ホモジナイズ」という工程を経て、種類ごとにタンクに移されます。「ホモジナイズ」とは、牛乳に圧力をかけ、脂肪球を砕いて小さく均質化することです。
送液バルク
殺菌後のタンクから充填の作業へ移る際には、迷路のように張り巡らされた「送液バルク」を通ります。たくさんのハンドルが付いており、充填する「牛乳の種類」と「容器の種類・サイズ(瓶・紙パック)」によって通るバルクが分けられています。
瓶検査
充填される瓶は、洗浄後、ライトを当てて傷や割れがないかチェックをします。
品質管理室
牛の様子がおかしい時は、すぐに品質管理室に生乳が持ち込み検査をします。検査で合格したもののみ、生乳として出荷ができます。
生乳の検査はタンク・時間ごとに管理され、菌数や酸度、成分などの測定に加えて、官能検査など多項目にわたってチェックします。
出荷前のパスチャライズ牛乳
こうして徹底した品質管理のもと、私たちが安心して美味しく飲むことのできるパスチャライズ牛乳ができあがります。
牛を元気に育てる酪農家さん、のびのび育つ牛、品質管理を徹底した製造者、それを届けてくれる人、多くの人々の想いが詰まったパスチャライズ牛乳をぜひ味わってください。
ビオ・マルシェの宅配会員様は、宅配会員ネット注文よりご注文下さい。
Non-GMO生乳を乳酸醗酵させた風味の良いヨーグルト
Non-GMO生乳に粗糖のみを添加し、乳酸発酵させたノンホモタイプのヨーグルトです。
Non-GMOの生乳で作ったのむヨーグルトです。香料・酸味料・安定剤は不使用です。