和歌山県有田郡の平飼い養鶏場「蒼生舎」を訪問してきました
2024.11.19
長崎県・吾妻旬菜で有機ブロッコリーを栽培する中村さんにお話を伺い、秋から冬にかけて有機ブロッコリーの生長する様子を紹介してきた「有機ブロッコリー日記」。いよいよ最終回です。(前々回は有機ブロッコリー日記①、前回は有機ブロッコリー②)
9月下旬に肥料を与え、主な作業を終えたブロッコリー。11月下旬に花蕾(蕾の集合体、ブロッコリーの可食部)が収穫できる大きさになるまで、生長をそっと見守ります。
葉は大きく育ち、日光を燦燦と浴びています。
この時期の問題は、病気と害虫による被害です。
とくに最も被害が大きいのが「軟腐病」。土の中の水分過多が原因で根が腐る病気で、感染すると花蕾に黒い斑点が現れます。ブロッコリーは生長が進むと花蕾の周りに大きな葉が付き、土に当たる日光や風を遮断します。これが原因で土の中の水分が蒸散せず、水分過多に陥ります。さらに気温が下がることで土の中の水分が蒸散する速度が遅くなるため、寒くなるほど軟腐病のリスクが高まると言われています。
左が通常のブロッコリー、右が軟腐病に感染したブロッコリー
一般的な慣行栽培では殺菌剤を使って防除できますが、有機栽培を行う吾妻旬菜では殺菌剤を使わず、植え方の工夫で軟腐病の対策をしています。それが「株間の間隔調整」。植え付けを行う株と株の間隔を、気温が下がるにつれて広くとります。そのことで、北風の通りを良くし、水分の蒸散を促進させます。
最も被害が大きい害虫は「ヨトウムシ」、芋虫のような見た目の蛾の幼虫です。日中は葉の裏や土の中に潜んでいますが、夜になると活動を始めてブロッコリーの葉を食べ荒らしてしまいます。夜に葉や実を食い荒らす習性から、「夜盗虫(ヨトウムシ)」と名付けられたそう。吾妻旬菜では化学合成された農薬を使わないので、畑を見回り、葉の裏のヨトウムシや卵を見つけ次第、手で取って駆除しています。
11月上旬のブロッコリーの様子です。大きな葉をかき分けると、親指の爪ほどの花蕾が見えてきました。
11月下旬。種を蒔いてから3カ月ほど経ち、ようやく収穫の時期を迎えました。
大きな葉の真ん中に、立派なブロッコリーが顔を覗かせています。
収穫作業で最も気を付けるのは、花蕾を傷つけないこと。周りの葉を切り落とし、丁寧に一つ一つ包丁で収穫します。収穫後は1℃前後に設定した保冷庫に1日保管します。これは販売先へ運ぶ前にブロッコリーの温度を下げることが目的です。ブロッコリーは蕾の集合体なので、温度が上がると収穫後でも蕾が開いて花が咲き、全体が黄色みがかってしまうからです。
病害虫の被害を乗り越え、収穫まで至ったブロッコリー。鮮やかな緑色で茎まで甘く育ちました。吾妻旬菜の中村さんは、シンプルにマヨネーズでいただくのがおすすめ、とのこと。おうちでは、同じく旬を迎えた有機人参と有機じゃが芋と合わせて、温サラダにするそうです。
中村さんの有機野菜の温サラダ
冬が旬のブロッコリーは、これからさらに甘みが増します。
中村さん「1月~2月にかけてが一番おいしい」そう。
その時期のブロッコリーは、花蕾がほんのり赤紫色をしていることがあります。これはポリフェノールの一種、アントシアニンと呼ばれる紫色の色素が発色しているためです。冬の寒さから身を守るためにブロッコリーが作りだしているもので、食べても問題はありません。 むしろ寒さに当たって甘みが増した証拠です。アントシアニンは水溶性で、ゆでると鮮やかな緑色に戻ります。季節の移り変わりとともに変化してゆくブロッコリーの美味しさをぜひ味わってみてください。
私たちが作ったブロッコリーは青臭さが少なく実も茎も甘くて美味しく育ちました。ブロッコリーは寒さが増すことで甘みが増して美味しくなりますが、私たちの生活を脅かすコロナウイルスは寒さが増すことでさらに猛威を振るっているように感じます。この冬を健康に過ごすためにビタミン豊富な私たちのブロッコリーをぜひご賞味ください。