はじめてのアーユルヴェーダ vol. 24「消化力、代謝力を...
2024.11.4
「VEGE & SPICE TABLE マリさんのアーユルヴェーダ食堂」は、2018年より隔月で料理教室を開催しています。現在は、オンライン講座でお送りしています。
今回は、アーユルヴェーダがはじめてという方のために、アーユルヴェーダ理論の基本と、自分の体質を知る方法について講師の原田真理さんにレクチャーいただきました。
アーユルヴェーダ・スパイス料理研究家
インド政府公認 アーユルヴェーダ ライフスタイル コンサルタント
マリのアーユルヴェーダクッキングサロン主宰
原田真理さん:今回は、アーユルヴェーダ理論の基本についてお話しします。自分自身の事を知り、体質にあった食事やケアを心がけることが、アーユルヴェーダ料理を作るうえでの土台になります。聞きなれない言葉が多く出てくると思いますが、何度も聞いて徐々に慣れ親しんでください。
アーユルヴェーダは、遥か昔からインドで継承されている世界三大伝統医学の一つです。語源はサンスクリット語のAyus=生命、Veda=知識、科学で「健康で幸せに寿命を全うするための知恵」に由来します。病気の治療だけではなく、ふだんの食事や生活習慣、ライフスタイルに取り入れることで、病気の予防、健康の維持や若さを保つこと、自分らしく生きることを目的としています。
インドの街中には、現代医学のクリニック同様、アーユルヴェーダのクリニックがあります。私はアーユルヴェーダドクターが来日された際に行われる、脈診のワークショップのお手伝いをしていますが、ドクターのクリニックには朝早くから行列ができ、わざわざ遠くから来られる患者さんもいらっしゃいます。患者さんに脈診や問診、視診、触診をし、治療方法を決めるだけでなく、食事や生活、日頃のケアのアドバイスも行います。
また、家庭では、ちょっとした不調なら、スパイスやハーブ、食材を使い体調を整えます。アーユルヴェーダには、キッチンファーマシー(台所薬局) という考えがあり、家族の調子や気候から来る不調などを見極め、それに合わせた料理をお母さんが作ります。お母さんも家族のお医者さまですね。
アーユルヴェーダでは、私たち人間や自然、あらゆる生命や物質が 「 空・風・火・水・土 」の五大元素からなり、この組み合わせによる3つの生命エネルギー「 ヴァータ ・ ピッタ ・ カパ 」によって身体や心が動いていると考えます。この3つエネルギーを「ドーシャ」と呼び、ドーシャをバランスよく整えることで心身共に健康を維持できるとされています。
人が生まれ持った体質は、自分だけのもので一生変わりません。そのような生まれ持った体質のことを「プラクリティ」と呼び、体質や行動・好みなどすべてに影響すると考えます。
一つのエネルギーだけが極端に突出した人は少なく、3つのドーシャが全て均等な人はわずかなようです。ほとんどの人が、1つのドーシャが優勢でもうひとつのドーシャも増えやすい傾向にあります。
また、年代や季節、時間、環境、生活習慣や日々の食事によって変化が起こると、バランスを崩し身体や心に不調が起こります。変化によって増えすぎたドーシャを抑え、本来のブラクリティの状態にバランスをとりながら、心と身体の健康を維持することが大切だと考えます。
正確なプラクリティ(生まれ持った体質)を知るにはアーユルヴェーダ ドクターによる脈診が必要ですが、体質チェックシートを使っておおまかなドーシャの傾向を知ることができます。
体質チェックシートを横に読みながら、あてはまるものにチェックを入れます。それぞれの合計を出して、1番多かったドーシャがあなたの体質になります。
まずは自分でチェックしてみましょう。その次に仲のよい友人や家族にチェックをお願いしてみるのがおすすめです。なぜかというと、性格や習慣など、自分の事はあまり気付いていないことが多いからです。
例えば・・・
ヴァータの特徴として、「おしゃべり」 とありますが、本人は自分がよく喋っていると思っていなかったり、ピッタの人に 「よく怒るでしょう?」 と聞くと、「怒りませんよ!」 って、怒りながら言っていたり。。。というわけです。
さて、いかがでしたか?
チェック表で1番多かったものが、あなたのいまの優勢なドーシャになります。
ちなみに私は「 ピッタ ・ ヴァータ 体質」 なので、ピッタが乱れやすいですが、ヴァータも増えやすいので、ピッタだけに注目せず、ヴァータも悪化しないような食、生活習慣を心がけています。
自分のドーシャについて詳しくみてみましょう。ここでは、ドーシャの特徴や、どんな行動や食材が自分のドーシャを増やしたり抑えたりするかを理解します。ドーシャについての理解を深めることは、パートナーや子ども、家族や友人などへの理解にもつながります。
おすすめの食材や生活習慣を知り、毎日の暮らしに少しずつ取り入れてみましょう。
Vata( ヴァータ 空+風 )体質のあなた
◆体質の特徴
痩せ型で太りにくい/髪、皮膚、声が乾燥しやすい/歯が弱い/目の動きが多い/爪が割れやすい/便秘をしやすい/寒がりで冷え性/食事は不規則だったり、変動が多い/記憶は不安定(覚えるのは早いが、忘れるのも早い)/想像力豊かだが、持続性はない/機敏で快活/常に新しいことを考える
◆ドーシャバランスの動き
「乾燥性」「冷性」の質を持っているので、風に長くあたり身体が冷え、乾燥するとヴァータが増え、スチームサウナのような暖かくて湿度があるところでは、ヴァータが減ります。
季節で言うと、ヴァータの持つ「変動性」により、不安定さや不規則さが生まれるので、大気の状態が不安定な梅雨や台風シーズンの雨季、冷たい風が吹き乾燥する晩秋には、ヴァータが増えるというわけです。
これをバランスするには、オイルマッサージをとり入れるなど暖かくしてしっとり保湿をすることが大切です。食事でいうと、 温かく、重み、油分があり、しっとりした食事がオススメです。サラダや冷たい食べ物や飲み物を好み勝ちですが、スープや温かい飲み物などをしっかりとるとバランスが取れます。
◆おすすめの食事
温かく、重み、油気、しっとりした食品/甘味/酸味/塩味の食事/牛乳/チーズ/ヨーグルトなどの乳製品/適度なスパイス/ギー/大豆/豆腐/肉/ゴマ製品/適量のナッツ/熟して果汁が多いフルーツ/オイル/規則正しい食事/ゆっくり食べる
Pitta( ピッタ 火+水 )体質のあなた
◆体質の徴
平均的な体型/なめらかな肌/そばかす、ホクロが多い/柔らかくて、細い髪/白髪になりやすい/視線が鋭い/下痢をしやすい/汗をかきやすい/食欲旺盛/消化力がある/記憶力はふつう/よく眠れる/怒りやすく、正当化する/リーダーに適している/集中力があり、要領がいい/情熱的
◆ドーシャバランスの動き
身体が熱くなりやすく、よく汗をかきます。先ほどのヴァータさんとは違い、サウナのような場所は余分な熱を増やし、ピッタを悪化させます。
食事では、熱い性質を持つ辛い食べ物やアルコール、揚げ物、発酵食品などもピッタが増える要因となり、口内炎や湿疹、頭痛、下痢、イライラ怒りっぽくなる。などの症状となって表れます。
ピッタを下げるためには、涼しい場所や月光浴、好きな良い香りを嗅いだり、瓜系などの、身体の余分な熱を取る食材を使った食事や、氷砂糖、ミルク、ギーなどの冷性の物を摂るのがオススメです。
◆おすすめの食事
身体の熱をとる/食材甘味/苦味/渋味の食事/適量の生野菜/果物/ミルク/ギー/水分
Kapha( カパ 水+土 )体質のあなた
◆体質の特徴
太りやすい/多くてしっとりした髪/柔らかくすべすべしてる/ひんやりした肌/強く厚い爪/安定した排便/食欲は安定している/消化がゆっくり/記憶は、理解するのはゆっくりだが、覚えたら忘れない/睡眠は深くて長い/決断はおそいが、決めると確実に進める/動くよりじっとしていたい
◆ドーシャバランスの動き
水と土の性質を持つカパは、ヴェータと同じ「冷性」ですが、「乾燥」のヴァータに対し「滑性」があるのが特徴です。 同じ性質のものを加えると増えるので、しっとりした湿度が高いところは、カパが増えます。ヴァータさんには最適なスチームサウナですが、カパさんにはドライサウナが適している。 というわけです。
また、カパさんは重い性質、ゆっくりした性質、とどまる性質により、安定しゆっくりと確実に物事を進めていける忍耐力があります。 一方で、運動不足や甘い物、重い性質の食べ物により、カパが増えると怠慢になり、動きたくなく、何をするのも面倒になります。
さらに「粘着性」の質があり、体の中に粘液が溜まりやすく、鼻炎や喘息などの疾患にかかりやすい傾向があります。粘液を生む、ヨーグルトやバナナ、チーズ、お餅、冷たい性質のきゅうりなどの瓜系のものは、なるべく控えましょう。
とにかく運動をし、甘い物を控え、食べ過ぎないことがオススメです。
◆おすすめの食事
温かく、スパイシーな食事/辛味/渋味/苦味の食事/豆料理/豆腐/豆乳/葉野菜/熱いお茶/ゆっくり食べる
自分の体質がわかってくると「あの不調は、あの行動によって引き起こされたのね!」 と、自身の身体を客観的に把握できるようになり、日常生活や食生活で気を付けるべき点が見えてきます。
料理教室では、このような考えを元に日々の食事の話や料理の作り方をお伝えしています。
「VEGE & SPICE TABLE マリさんのアーユルヴェーダ食堂」は、隔月で料理教室を開催しています。(現在は、オンライン講座)
詳しくはVEGE & SPICE TABLE マリさんのアーユルヴェーダ食堂をご覧ください。