はじめてのアーユルヴェーダ vol. 24「消化力、代謝力を...
2024.11.4
2021年6月15日(火)、オンライン講座「VEGE & SPICE TABLE はじめてのアーユルヴェーダ~基本のスパイス7種類を使った有機野菜のお惣菜」第4回目を開催しました。
今回のテーマは「梅雨の快適な過ごし方」です。梅雨は、天気の変化が激しい時期です。梅雨の初めは冷たい雨が降り、嵐のような風が吹く日がある一方、終わりに近づくと温かく湿った空気で蒸し暑くなったりします。アーユルヴェーダでは、梅雨はヴァータ(風+空のエネルギー)が高まる時期と考えます。ヴァータのエネルギーが増えすぎると、冷え性、肩こり、頭痛、便秘、関節痛、疲労感などの症状を引き起こします。今回の講座では、この時期にヴァータを悪化させない工夫についてお話ししました。
この時期は、温かく、重みや油分のある、しっとりとした食事を意識することが大切です。暑くなると、つい冷たい飲み物や食べ物を摂りがちですが、体温より低い温度の飲食物は消化の火を弱めてしまうので良くありません。また、身体がだるくて食生活も乱れがちですが、規則正しい時間に、ゆっくり食事をするよう心がけましょう。
食材では、甘味、酸味、塩味のあるものを積極的にとり入れます。今回は、甘味のある「南瓜」と酸味・塩味のある「梅干し」を使ったカレーを作りました。南瓜は、ビタミンAが豊富に含まれており、皮膚の乾燥を防ぎます。さらに食物繊維を多く含み、便秘の改善効果、梅干しには、疲労改善効果が期待できるクエン酸が豊富に含まれています。また、サラダなどの生野菜は身体を冷やすだけでなく、ガスも発生しやすいので、なるべく控えましょう。
大気の状態が不安定な梅雨や台風シーズン。
ヴァータ(風のエネルギー)体質の人は、身体が冷えたり、肌が乾燥したりします。これを抑えるために、太白ごま油などでオイルマッサージをすると、身体に重みがつき、肌もしっとりします。
梅雨でも、夏のように暑い時、ピッタ(火のエネルギー)体質の人は、身体が熱くなりやすく、余分な熱がこもりやすので、サウナのような場所はおすすめできません。涼しい場所や月光浴でクールダウンしたり、好きな良い香りを嗅ぐことでピッタを鎮静することができます。
梅雨のジメジメして、湿度が高い時、カパ(水のエネルギー)体質の人は、運動不足や甘いものの摂りすぎに気をつけて。ウォーキングなどの軽い運動を心がけてください。
環境の変化が著しいこの時期は、ヴァータを整える食事をとることがポイントです。
梅雨の蒸し暑い日は、麦茶の代わりにスパイスティーを作ってみましょう。1リットルの水に、コリアンダーシードを大さじ2杯程度入れて、水出しします。コリアンダーシードは、身体の余分な熱をとる効果があります。その他、消化促進や利尿効果により、むくみも軽減してくれます。梅雨だけでなく、暑い夏には熱中症の予防にもなります。
ヴァータが増えると、髪、皮膚、声が乾燥するといわれています。アーユルヴェーダでは乾燥を防ぐために、オイルマッサージをします。マッサージオイルには、香りのしない「太白ごま油」を使います。太白ごま油とは、ごまを焙煎せずに加工した透明な油です。太白ごま油を人肌に温めて、塗ります。たくさん塗る必要はありません。ハンドクリームのように薄く広げるイメージです。耳や足の裏、お腹を集中的に全身に行います。マッサージをした後は、発汗することが大切です。お家では、サロンのようにスチームに入ることができませんから、湯船につかり発汗させます。その時、重曹を大さじ3~4程度入れてみてください。発汗作用が高まり、オイルの浸透を助け、老廃物の排出を促してくれます。※生理中、発熱、お腹がいっぱいの時は、オイルマッサージは行わないでください。
この講座では、基本のスパイス7種類をベースにした有機野菜のお惣菜をご紹介しています。
基本のスパイス7種類は、クミン(シード、パウダー)、マスターシード、ターメリック、カイエンパウダー、ブラックペッパー、コリアンダー(シード、パウダー)、ガラムマサラです。これを選んだ理由は、手に入れやすいということ。
クミン、コリアンダー、ターメリック、カイエンパウダーの4種類だけでも基本のカレーが作れます。その他の3種類のスパイスがあると、料理のレパートリーがぐんと広がります。今回はその中から、マスタードシードをピックアップしました。
消化促進、血行促進、抗炎症作用、神経痛・腰痛治療などの薬効があります。南インド料理には欠かせないスパイスで、ホームレメディとしても活躍します。
マスタードシードをペースト状にしたものや、マスタードオイルを関節に塗りこむことで、関節痛の治癒が期待できます。また、こむら返りが頻繁に起こる場合は、マスタードオイルで患部を毎日マッサージすると予防にもつながります。マスタードオイルは鋭さにより、患部への即効性があります。しかし、刺激が強いため、肌が弱い人、特にピッタの人はパッチテストをしてから使ってください。
マスタードシードはオイルに溶け出しやすいので、スタータースパイスとして使います。オイルでパチパチと音がするまで加熱し、香りと薬効を引き出します。マスタードシードを使うことで、いつもの料理に深みが出ます。
有機野菜を使ったメニュー3品、「南瓜と梅干しのカレー」「キャベツのポリヤル」「にんじんとカシューナッツのサラダ」を作りました。その中から、「南瓜と梅干しのカレー」のレシピをご紹介します。
南瓜の甘味がスパイスの風味をまろやかにしてくれます。ふだんスパイスに馴染みのない方にも、ぜひ作っていただきたいカレーです。
南瓜 500g ・・・ 所々皮を剥き、ひと口大に切る
オイル 大さじ 3
クミンシード 小さじ 1/2
ヒーング 少々
玉ねぎ 1個 ・・・ みじん切り
ニンニク 1片 ・・・ みじん切り
生姜 1片 ・・・ みじん切り
トマト 1個 ・・・ 乱切り
★ コリアンダー パウダー小さじ 2
★ クミンパウダー 小さじ 1
★ ターメリック 小さじ 1/2
★ カイエンパウダー 小さじ 1/3
★ 塩 小さじ 2/3
★印のスパイスは、あらかじめ混ぜ合わせておきます。
水 300cc
梅干し正味 約20g ・・・ 種を取ってペーストにし、少量の水で溶いておく
砂糖 ・・・ 大さじ 1
醤油 ・・・ 少々
① 鍋にオイルを熱し、クミンシード → ヒーング の順番でフォドニをしたら、玉ねぎを入れ、続けてニンニクと生姜も加え、色づくまで炒める。
② うす茶色くらいになったら、トマトを加え、トマトが煮崩れてきたら、★のスパイスを入れ、1~2分炒める。
③ ②に南瓜を加え、玉ねぎペーストをからめたら、水、梅干しペーストを入れ、沸騰したら弱火にし、蓋をして15分煮る。
④ 南瓜に火が通ったら、塩で味を調え、砂糖と醤油を加えて、できあがり。
フォドニとは
インド料理でよく用いられるテクニックで、温めたオイルにスパイスを加えてパチパチとはじけさせ、香りと薬効を引き出すことです。テンパリング、タルカとも言います。スパイスが焦げないよう、慣れない場合は弱火で行うと良い。
・分かりやすく、親しみやすく、お話がすごく聴きやすかったです。スパイスを使った料理を体質に合わせて色々作りたくなりました。そういう機会を頂き、本当に有難うございました。またぜひ参加したいです。
・今回で3度目の受講になりますが、毎回楽しく参加させていただいております。必ず同じものを作って食べるようにし、その簡単さとおいしさに驚かされています。アーユルヴェーダ料理は難しいという概念がなくなりました。また、3つのエネルギーについても、だんだんと理解できるようになってきました。
2021年6月15日より『アンナプルナ食堂』から『マリのアーユルヴェーダクッキングサロン』へ改称いたしました。
アーユルヴェーダ・スパイス料理研究家、インド政府公認 アーユルヴェーダ ライフスタイル コンサルタント
これまでの料理教室の様子やレシピをウェブサイトで公開しています。
ぜひ、ご覧ください。
アーユルヴェーダとは・・・
サンスクリット語のAyus (生命)、Veda(科学・知識)が語源。インド・スリランカで5,000年以上の歴史を持つ、世界最古の伝統医学です。その知恵は、毎日の生活や食事法として受け継がれています。最近は「より良く生きるためのヒント」として、世界中で注目を集めています。
次回は2021年8月24日(火)を予定しています。
皆様のご参加、お待ちしております。