和歌山県有田郡の平飼い養鶏場「蒼生舎」を訪問してきました
2024.11.19
奈良県五條市の街中から、吉野川の支流「丹生川」を遡り、西吉野地域へ。
この地域の山では昔から柿や梅を作っており、今でも山の斜面には見渡す限り畑が広がっています。
この日訪問したのは、ビオ・マルシェの有機梅干しや有機梅エキスなどの梅製品を作っていただいている王隠堂農園。
まず始めに、王隠堂農園が経営する「旬の野菜レストラン 農悠舎王隠堂」に伺いました。こちらは、王隠堂農園の柿や梅の畑が続く山を登った山頂付近にあります。築150年の古民家を開放したレストランで、門を一歩入ると美しい前庭が迎えてくれます。
ここでは、畑でとれたこだわりの旬の野菜や果物を使った、素材そのままの味を生かしたメニューをいただくことができます。
味噌などの調味料も手作りにこだわっており、昔懐かしい暮らしに思いを馳せながら、食事の時間を過ごすことができます。
緑が映える母屋の縁側です。庭も軒先もとてもきれいに手入れされています。
歴史を感じさせる邸宅内。茶室や屏風も見ることができます。
実はここは、もともと王隠堂家の「お家」だったそうで、「王隠堂」は商売の屋号だと思っていたのですが、なんと、「苗字」でした。何でも、南北朝時代に落ち延びてきた王をかくまったのが名前の由来だとか。
代々農業を営んできた王隠堂さんだけあって、歴史ある農具の数々が展示されています。
「せんばこき」といい、脱穀の際に用いる農具です。
稲穂をこのトゲの間に通して、稲の実だけを落とします。
こちらは「とうみ」といい、風を送って穀物を選別する農機具です。
臼などで籾殻をはずした米をいれて、回して風を起こし、籾殻・玄米・塵などに選別します。
歴史ある建物を見学させていただいた後は、とれたての野菜をふんだんに使ったコースメニューをいただきます。
色鮮やかな自家製赤しそジュース。
中に見える白いものは自家製の甘酒です。
爽やかな赤しその酸味の中に、甘酒の優しい甘味が広がります。
新鮮な野菜サラダ。サマーフレッシュという柑橘のドレッシングでいただきます。
新鮮な野菜のおいしさは、やっぱりサラダで味わうのが一番ですね。
野菜の天ぷらの盛り合わせです。
左側は「大和当帰(やまととうき)」という珍しい野菜。奈良県では、伝承生薬として昔から珍重されてきました。ちなみに、「当帰」とは冷え性、血行障害、滋養強壮、鎮痛薬などの漢方薬として処方される薬草の一種です。
食後には抹茶と自家製の柚子巻柿。
柿の産地としてもおなじみの王隠堂農園さんならでは。
食事をしながら王隠堂農園の和田さんにお話を伺うことができました。
今年は日照時間が短く、今まで20年やってきた中で一番、梅の収穫が少ないとのこと。梅は1月~3月の気候の影響を大きくうける作物で、今年は遅霜の被害などもありました。10月ごろから不作の影響が出るだろうとおっしゃっていました。
王隠堂農園のある西吉野地域では、高齢化が進んでおり、有機の梅を作り続けていくには、地域ぐるみで生産者の確保が必要だそうです。けれども、有機JASを取得することは手間がかかり、山間部では条件を満たしたほ場が少なく、なかなか人が集まらないのだとか。
様々な困難のなか、毎年、貴重な有機梅を育てて頂いています。
次回は、そんな貴重な有機の梅を使った有機梅エキス作りについてのお話です。
(スタッフ 津川)