はじめてのアーユルヴェーダ vol. 24「消化力、代謝力を...
2024.11.4
今回で4回目となる、「VEGE & SPICE TABLE ~マリさんのアーユルヴェーダ食堂~」。
本場のアーユルヴェーダの知恵をベースに、スパイスと日本の食材を掛け合わせた料理は、どれも定評があります。基本のスパイスに普段の食材を使ったシンプルなレシピは、毎日の食事にとり入れやすいのも嬉しいポイントです。
今回はのスパイスのテーマは「チリとガーリック」です。旬の野菜、筍、ふき、菜の花などの苦みのある野菜を使ったお料理です。
講師は、「アンナプルナ食堂」主宰の ハラダ マリさんです。
マリさんは、インド政府公認アーユルヴェーダ ライフスタイル コンサルタントとして、アーユルヴェーダドクターの来日の際には、食事を任されている程の腕前です。
テーブルに用意された、ウェルカムドリンクのコリアンダーティをいただきながら、まずは季節についてのお話から始まります。(コリアンダーティーのレシピは、最後にあります)
マリさん:アーユルヴェーダの食事では、「常に次の季節を意識する」ことが大事です。
例えば、春のこの時期、くしゃみや鼻水、咳などの花粉症の不調で悩んでいる方はいますか?
アーユルヴェーダの考え方では、この時期は、雪の中で凍って固まっていた、冬の間に過剰に摂った油や砂糖・重たい食事が、春の暖かさで溶け出し、ねちゃねちゃ・ベトベトの粘液となり経路を詰まらせ、辛い症状となって現れます。
冬は、一年で一番消化力が高まる上に、ご馳走が並ぶイベントも多いため、つい食べ過ぎてしまいがちです。しかし、次に訪れる春の事を考えずに食べていると、脂肪分・糖分の摂り過ぎでカパのエネルギー(重い・鈍い・冷たい)が増えて、体の中に蓄積されるというわけです。
この時期に限らず、消化力が落ちていると感じた時は、「固形物の食べ物を減らし、液体の物に代える」「お腹が空いていない時は食べない」「お白湯を飲む」などのケアが有効です。
消化力を上げる方法のひとつとして紹介していただいた「お白湯」。
マリさん:お白湯を飲むことは、季節や体質を問わず毎日の習慣にすると良いでしょう。つくり方は、お水(水道水でも可)を火にかけ、1/2の量になるまで沸かすだけです。
ただ沸かしただけのお湯に比べると、味はトロッとした感じ、飲むだけで消化力を上げ、未消化物を流す作用があります。白湯を飲むだけで便秘が改善されたり、体調の変化が現れる人も多くいます。
作り置きではなく、毎日新鮮な白湯を摂るよう心がけましょう。再加熱したものではなく、ポットで保温して飲んだり、夏場は湯冷ましにして常温で飲みます。
マリさんより白湯の説明があると、次々に質問が飛び交いました。「それって、蒸発しているだけでは?」「白湯って、あったかいお湯とは違うんですね!」「やってみたくなりました!」など。
みなさん、家に帰って早速、実践できそうな白湯の話に興味津々です。
マリさん:春先はカパのエネルギーが増える時期です。「ガーリック」は、ヴァータやカパのエネルギーを鎮静させるために有効です。「チリ」も同じようにカパを鎮める作用があり、この時期におすすめのスパイス。チリはメーカーによって配合や辛さが異なるため、「赤唐辛子のみ」のものを選び、辛味を確かめてから使用してください。
といっても、やはり摂り過ぎは禁物です。チリの摂り過ぎは発汗を促し、その後、身体を冷やしてしまうので、使う量や体質を考えて使うことが大切です。
説明をはさみながら、デモンストレーション形式で、お料理の作り方を教わっていきます。
今日は、お召し上がりいただくお料理の中から、「大麦とひじきの炊き込みご飯」「たけのこカレー」「ふきのサブジ」「ペペロンチーノ風野菜炒め」「菜の花のスパイシーサラダ」のつくり方です。
マリさん:それでは、「たけのこカレー」を作ります。料理に必要な材料は、あらかじめ準備しておいてください。
まずは、スパイスのフォドニから。「フォドニ」とは、スパイスの香りや薬効を引き出す調理法のこと。テンパリングやタルカという呼び名もあります。
オイルを鍋で温め、オイルの温度が上ったところに、クミンシードを加えスパイスを弾けさせます。クミンは焦げると苦みが出てしまいます。焦げやすいので、慣れるまでは弱火でゆっくり香りと薬効を引き出すと良いですね。クミンに色が付き、香りが出てきたら、ヒーング、玉ねぎ、生姜、にんにくの順で入れます。
ターメリックとチリ、塩は混ぜ合わせておきます。ターメリックは、火が通っていないと土臭さが残ってしまいます。なので、黄色味が足りないからと最後に足してしまうのはNGです。
最後にガラムマサラを加えて調理中に飛んでしまった香りを補います。火を止めて蓋をして蒸らして下さい。
デモンストレーションでは、レシピを読んでいるだけではわからないことがたくさん学べます。
スパイスは、種類によって、入れるタイミングや効果が異なるということなどを教わりました。
手際よく他の料理もご紹介いただき、あっという間に6品のお料理できあがりました。
お待ちかねの食事の時間です。
スパイスの香りが漂い、食欲が刺激されお腹がグーグーなり始めました。「きちんとお腹が空いてから食べることも、とても大切です。自分の消化力を考え、消化できる量を食べましょう。」とアドバイスをいただきました。
「どれも本当に美味しいです」「ふきにスパイスが合うなんて、考えもしませんでした」「野菜だけなのに、お腹が一杯になりました」など。
お料理を囲みながら、日頃のお料理や自分が好きな食べ物、地元の郷土料理などのお話で盛り上がりました。みなさまの食べ物にまつわるエピソードがとてもおもしろかったです。
ふき 1束・・・下処理したものを、5cmの長さに切っておく。
トマト 1個・・・(1cm角に切る)
パクチー 少々(トッピング)
オイル 大さじ2
玉ねぎ 1/2個・・・みじん切り
にんにく 1/2片・・・すりおろし
生姜 1/2片・・・すりおろし
ターメリック 小さじ1/3
チリ 小さじ1/4★
塩 小さじ2/3★
(★はあらかじめ混ぜておきます)
しょう油 小さじ1
レモン汁 大さじ1
1.鍋にオイルを熱し、玉ねぎを軽く色づくまで炒めたら、にんにく、生姜、ターメリックを加え、さらに1~2分炒める。
2.1.に、ふき、トマト、★(チリ、塩)を混ぜ合わせたら蓋をし、弱火で 3分蒸し煮にする。
3.火を止めたら、しょう油、レモン汁を加え、再び蓋をし、1~2分蒸らす。
本日のウェルカムドリンクは「コリアンダーティー」でした。
コリアンダーは、身体に溜まった余分な熱、むくみを取ってくれる作用があるスパイスなので、今の時期や夏の熱中症対策にもおすすめとのこと。
とても簡単なので、キッチンに残っているコリアンダーシードでぜひ作ってみてください。
(夏場、余分な熱を取りたいときは、一晩水出しした物が有効です。)
水・・・1リットル
コリアンダーシード・・・大さじ2
1.お鍋に水とコリアンダーシードを入れ、中火で煮たてます。
2.お湯が沸騰したら3~5分煮立てて、火を止めます。
※次回の開催は、5月15日(水)、5月25日(土)を予定しています。
広島県尾道市出身
インド政府公認アーユルヴェーダライフスタイルコンサルタント
キッチンスタジオ ペイズリー インストラクターコース 修了
ヨガ教師、ヨガインストラクターの勉強中に、アーユルヴェーダに出会う。
各地でアーユルヴェーダ料理教室や、ギーの講座を開催。