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自然の仕組みに寄り添う、有機マンゴーづくり ~ 沖縄 来間島(くりまじま)楽園の果実

全長1690mの来間大橋

6月後半、梅雨明けしたばかりの沖縄県。今回訪れたのは、有機栽培と“樹上で完熟するまで待つ“ことにこだわるマンゴー農園「楽園の果実」です。

農園は、宮古島から来間大橋を渡った先、周囲9㎞の小さな島・来間島(くりまじま)にあります。島には信号機がなく、サトウキビ畑と青い海が広がり、ゆったりとした時間が流れています。

梅雨明け直後の晴天。まぶしい太陽に照らされた海は、エメラルドグリーンやコバルトブルーなど幾重もの青色に輝いていました。

 

有機栽培を選んだ理由

楽園の果実(砂川さんご家族)

出迎えていただいたのは、有機マンゴー生産グループ「楽園の果実」の砂川さんご家族。ご主人の砂川重信さん、奥様の智子さん、ご子息の信祐さんです。

砂川さんは、マンゴー栽培をはじめた当初より化学合成農薬を使わず、2000年には有機JAS認証を取得しています。その栽培方法を学びに国内外から生産者が訪れることもあります。

そんな砂川さんも、父母が葉たばこ農家で、以前は専売公社による管理された慣行農法で栽培をしていました。農薬により虫が死ぬのはもとより、蛇がいなくなったときには、目の前で起きている自然の生態系が崩壊する光景にこのまま続けてもよいのだろうかという恐怖を覚えたそうです。

また、智子さんによると「娘がアトピーを患ったことも、きっかけのひとつだった」そう。というのも、サンゴが隆起してできた来間島では生活用水や飲用水の多くを地下水に頼っています。
農薬や化学肥料は雨水とともに地下へと浸透し、地下水を経て海へ流れ出ます。そうした目に見えない影響への懸念から、有機栽培の道へ進み始めました。

 

「害虫駆除には一度も勝てたことはないよ。だから、マンゴーの木が自分で強くなるようにしなきゃ。」

「害虫駆除には一度も勝てたことはないよ。だから、マンゴーの木が自分で強くなるようにしなきゃ。」有機マンゴー栽培の中で最も難しいと言われるのは、害虫との向き合い方です。

農薬でも駆除が難しいカイガラムシに対して、重信さんは、様々な方法を試してきました。ある時は、島トウガラシのスプレーや、焼き肉のたれを撒いてみる。またある時は、ルーペを構えて虫の動きを一日中観察することも。それでも一向に減ることがないので「もう、お好きにどうぞ。」

そう思って見守ることにしたある日__。

マンゴーの木を歩くカイガラムシの殻がいきなりパキンと割れ、中からテントウムシが現れる瞬間を目にします。

その日から何度も見かけるテントウムシに、マンゴーの木がテントウムシを呼んでいて、自らを守ってもらっているという考えにたどり着きました。

この生命力に対して重信さんは、『マンゴーの木が放つフェロモン』と表現します。自然の生態系の中で免疫をつけ、フェロモンを放てるようになったマンゴーの木は、重信さんの害虫駆除の手間も省き、立派な実をつけるようになりました。

 

できるだけ自然のままに、生長を手伝う

「一番大変な作業は、枝を紐で吊る作業です」と信祐さんが教えてくれました。
実の重さで地面につかないように、枝葉を引っ張り、紐で留める作業があります。楽園の果実は、ここにも自然の仕組みを利用したこだわりがあります。それは、「実の重さで枝が垂れるまで待ち、紐で吊ること」「地面から高くしすぎないこと」です。

その理由は、マンゴーの木は実の重さで枝が垂れたときに「大きくなるための生長の養分」から「おいしくなるための旨みの養分」へ切り替えるタイミングを認識するからだそうです。

また、一般的なマンゴー栽培では地面から高いところで紐を留め、木を大きくしてたくさん実らせますが、楽園の果実では背丈よりも低いところで紐を留め1枝に2~3個程度で仕立て、品質を優先しています。

 

「無」と書かれた袋

「袋になんで無と書いてあるかわかります?」と智子さん。よくみてみると(無)と書いている果実袋を使用しています。「この(無)は、無農薬という意味。果実袋には農薬処理袋といって薬剤があらかじめコーティングされた紙袋も流通しているけれど、うちでは袋もずっと無農薬のものを使っています。」と教えてくれました。

完熟したマンゴーは果実袋におさまり、それを収穫します。取材中、少し樹が揺れると、智子さんが「この子はもう袋におちるよ」と一言。するとその言葉どおり、ポトンと果実が袋の中へおさまりました。

袋の上からでも完熟を見極める確かな眼差し。長年マンゴーと向き合ってきた経験と愛情の深さに、思わず見入ってしまいました。

 

楽園の果実では、樹の上で完熟するまで待ち収穫をします。未熟なうちに収穫して追熟させることはせず、十分に熟した完熟マンゴーだけを収穫・出荷しています。(樹上完熟)その理由は、木から最大限の栄養と甘みをもらい、最も香り高く濃厚でジューシーな果実に仕上げるためです。

「ほら、ここから蜜がでているでしょう」

よく見てみると、完熟を待った証が、艶やかに現れていました。ここまでお話を伺うと、樹上で完熟を迎えたマンゴーの味が気になってきました。

 

「農家れすとらん 楽園の果実」

「農家れすとらん 楽園の果実」

畑で栽培や想いについてのお話を伺った後、楽園の果実が運営するレストランへ向かいました。お昼時を過ぎていましたが、店内は多くの観光客で賑わい大盛況。ついに、マンゴーを味わえるという高揚感とともに席へ着きました。

(マンゴーを丸ごと1つ使ったパフェ)

力強く、香り豊かで、濃厚。それでいて後味は驚くほどすっきりとしていました。
自然の仕組みに寄り添い、樹上で完熟するまで待ち、収穫したマンゴーは、こんなにも奥深い味わいになるのかと感動しました。畑で伺った栽培への想いやこだわりが、一口ごとに伝わってくるようでした。

 

循環する栽培と暮らし

来間島では自然とともに暮らすことが、当たり前です。

重信さんは宮古島で出る剪定枝のくずを腐葉土化して自家製堆肥を作ったり、マンゴーの種を乾燥させ粉末にしたものを畑に還すなど、地域の資源を循環させる栽培を続けています。

 

右:1番ガー / 左:2番ガー 

また、智子さんは島の拝所である御嶽(うたき)や島の人々がはるか昔から命を繋いできた、“来間ガー”(ガーとは島の言葉で井戸)の清掃活動にも参加されています。
来間ガーは1番ガー・2番ガー・3番ガーと分かれており、飲用・洗濯用・家畜用と段階的に使い分けられた水は最後には海へ流れます。

使い切るのではなく、使いまわす循環の精神が島には宿っています。お話を聞いていると、畑だけでなく、島全体の自然環境を守ることは、砂川家にとって大切な営みのひとつだと伝わってきました。
マンゴーづくりを通して来間島の豊かな自然を未来へつないでいく—— そんな想いが、栽培や暮らしの随所に息づいていました。

 

来間島から未来へ

楽園の果実の砂川さんご家族にとって来間島の自然を守ることは、美味しいマンゴーを育てること。そして、美味しいマンゴーを育てることは、来間島の未来をつないでいくこと。完熟マンゴーには、そんな自然と人の営み、そして未来への想いが詰まっていました。

 

とれたて産地直送便

ビオ・マルシェの宅配では、楽園の果実の完熟取りの有機マンゴーを、全国へ直送でお届けしています。(ご注文受け付け6月頃、お届け期間7/1~8/31日頃)

砂川さんからメッセージ

果樹栽培は、一年を通して管理が必要です。
野菜ならば3カ月で植え替えられるけれど、果樹はそうはいきません。長い間向き合い、有機で栽培を続け、近年の資材高騰で栽培が難しい条件の中、来間島の環境を大切にしながら一生懸命に作っています。
完熟取りであることが他のマンゴーとの大きな違いです。ぜひ味わっていただきたいです。ご注文お待ちしております!

楽園の果実

楽園の果実

沖縄県 来間島

「子供たちのために農薬を使用したくない」という想いから、栽培を始めた当初から化学合成農薬を使わず、2000年に有機JAS認証を取得。生態系のバランスを保った自然に近いかたちの農場をつくり、国内で大変稀少な有機マンゴーを30年以上つくり続けています。

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