
大干ばつを乗り越えて生まれた、有機柑橘ジュース(愛媛県・末岡...
2026.6.26
2026年4月より、ビオ・マルシェに新たに「有機レモンジュレ」が仲間入りしました。市場でもめずらしい、有機JAS認証を取得した『飲むタイプ』のゼリーです。今回は柑橘の圃場とゼリーの製造を見学し、あの美味しい商品ができるまでの様子を取材してきました。
※ジュレはフランス語、ゼリーは英語。 どちらも「凝固したもの」を指します。
製造しているのは、柑橘ゼリーやビオ・マルシェオリジナルのジャムでおなじみの星光産業(旧:三皿園)。愛媛県で柑橘の栽培から製造までを一貫して手がけています。現在の取締役である越智光孝さんは三皿園4代目の故・越智章太郎さんの想いを引き継ぎ、日々柑橘づくりと製品づくりに向き合っています。
愛媛県の自社農園で育てた有機レモン果汁を25%使用し、寒天と葛のみで固めています。素材そのものの味わいを活かし、酸味と甘みのバランスが絶妙な一品。のどごし爽やかで、果実の旨味が口いっぱいに広がります。
星光産業の圃場は約10カ所。みかん、伊予柑、レモン、甘夏など7種類の柑橘を、それぞれの特性に合わせた場所で栽培しています。圃場の管理を主に担っているのは越智日出子さん。もともと農薬を使った栽培をしていた頃、ご主人(越智章太郎さん)に蕁麻疹が出たことをきっかけに、有機栽培へと転換し、それ以来20年以上にわたり有機栽培を続けています。
有機栽培の野菜は、種まき・植付け前2年以上、原則として化学肥料や農薬を使用しないこととされていますが、果樹などの多年生植物の場合は、収穫前3年以上とされており、野菜以上に有機栽培が困難です。また、樹が成熟するまでにはさらに3~5年の期間が必要になるため、病害虫への対策を行うなどして丁寧に育てています。
「木を見るのが楽しいから、毎日でも圃場に行きたいんです。きれいな実がなっていると本当に嬉しい。」そう話す日出子さんからは、柑橘への深い愛情が伝わってきます。
また、経験豊富で器用な“先生”のような存在の方がいて、困ったときにはその人に聞きながら栽培技術を高めているそうです。収穫時期には、地域の方や近くに住む高校生も手伝いに来てくれるとのこと。実際にお会いした日出子さんはとても明るく気さくな方で、その人柄が人を惹きつけているのだと感じました。
有機を始めた当初は、特に土づくりに苦労されたそうです。そんな中、EM菌を農業に活用するという話を農協の指導員から聞き、取り入れたことで土壌環境が大きく改善されました。
EMとは、「Effective Microorganisms(有用微生物群)」の略で、乳酸菌や酵母、光合成細菌など、人や環境にとって良い働きをする微生物の集合体です。EM菌には次のような効果があります。
・微生物の多様性を高め、土壌を安定させる
・有機物の分解を促進し、土になじみやすくする
・団粒構造を発達させ、根が伸びやすい土をつくる
肥料は有機のぼかし肥料を中心に使用し、甘夏やレモンには有機質肥料として、鶏ふんをまきます。また、収穫量が多かった後や木が弱ってきたタイミングでは、牛ふんを入れ、土の状態を整えることもあります。
まずはレモンの圃場を見学。急勾配の山の斜面にレモンの木が一面に広がっていました。レモンの圃場面積は全部で4〜5町。当日訪れた圃場では「ユーレカ」が栽培されていました。
レモン栽培で最も重要なのは「日当たり」とのこと。そのため、約150本の木を一本一本手作業で剪定し、不要な枝や枯れ枝を丁寧に取り除いていきます。また、草刈りも特徴的で、すべてを刈り取るのではなく、上部を残すことで日よけの役割を持たせ、木への負担を軽減しています。
訪問した日は収穫作業が行われていました。収穫はただ実を取るだけではなく、剪定と同時に行うのがポイント。木の状態を見ながら手を入れることで、翌年以降の実りにもつながっていきます。
収穫したばかりのレモンは、一般的に流通しているものよりも固く、しっかりとした質感でした。「まな板の上で少し転がすと果汁が出やすくなりますよ」と使う際のポイントも教えていただきました。
続いて、ビオ・マルシェオリジナルの有機甘夏マーマレードに使用している甘夏の圃場を見学しました。圃場を歩くと、どの木も丁寧に手入れされており、「木が気持ちよく育つ環境をつくる」という意識が随所に感じられました。実際に食べてみると、みずみずしく、酸味と甘みの絶妙なバランスに加え、甘夏特有のほろ苦さも感じられました。
続いて、有機伊予柑ゼリーに使用している伊予柑の圃場を見学しました。訪問した日は既に収穫は終わっていましたが、見晴らしがよく気持ちの良い場所でした。周囲は雑木林に囲まれ、豊かな自然の中から瀬戸内海を一望できます。
伊予柑の栽培で重要なのは、虫の侵入を防ぐため株元を清潔に保つこと。根元に草があると虫が入りやすく、一度入ると大きな影響が出てしまうそうです。また、伊予柑は芽が出るのが早い品種のため、他の柑橘よりも早いタイミングで剪定を行います。これは先代から受け継がれてきた大切な教えだといいます。丁寧に管理されたこの圃場では、毎年約2トンの高品質な伊予柑が安定して収穫できるそうです。
また、有機みかんゼリーに使用しているみかんの収穫もすでに終わっていました。今年は収穫量も多く、品質の良いみかんが育ったそうです。水はけがよく、潮風が当たる環境が美味しさのポイントだと教えていただきました。
続いて工場に移動し、ゼリーの製造現場を見学しました。工場で製造を担うのは、工場長の織田良二さん。百貨店や医療関係での勤務経験を持ち、現場で何度も口にしていたのは「衛生管理」という言葉でした。
徹底した管理体制のもと、一つ一つ丁寧に作られるゼリー。工場で働くスタッフへの信頼も厚く、現場全体で品質を支えていることが伝わってきました。
ゼリーの製造数は1日600〜700個ほど。夏場の需要期はほぼ毎日製造が行われています。工場内は導線がよく考えられ、小回りが利く設計。一度に作る量をあえて小さくすることで、加熱から充填までの作業をスムーズにし、一つ一つ丁寧に仕上げています。
ここからはゼリーの製造工程をご紹介します。
工場では自社農園の柑橘の搾汁も行っています。今の時期は伊予柑の搾汁を行っており、その総量は約5トン近くになるそうです。伊予柑は収穫後すぐには使わず、一定期間寝かせて熟成させてから加工へ。皮ごと四分割し、手作業で皮と果肉に分け、果肉はジューサーで搾汁します。皮はピールとして加工され、業務用としても出荷されています。
果汁に有機砂糖・寒天・葛粉を混合し、加熱していきます。
計量カップを使用し、一つ一つ丁寧に充填していきます。
蒸気殺菌を、90℃で15分間行います。
飲適流水かけ流しにて5分冷却します。
もともと星光産業では、伊予柑、レモン、柚子の皮でピールを作り、業務用としてチョコレート専門店やパン屋へ提供していました。果汁はジャムに加工していましたが、それでも余ってしまうこともあり、「この果汁を無駄なく活かせないか」と考えたことが、ゼリーづくりの始まりでした。
最初に商品化されたのは伊予柑ゼリー。評判が良かったことから、その美味しさが広がり、みかん、そして今回のレモンへと展開されていきました。
ゼリーの配合はすべて工場長が担当。今回のレモンジュレも試作を重ねて完成しました。「柑橘の味をそのまま感じてほしくて、最初は甘さを控えめにしたら、震え上がるほど酸っぱくて」そう笑いながら話す工場長。何度も試食と調整を繰り返し、最終的に酸味がまろやかで食べやすい味わいに仕上げました。
今後も新たな柑橘を使った商品展開を予定されていますので、ぜひご期待ください。
最後に、暑い季節にピッタリな有機レモンジュレのおすすめの食べ方も教えていただきました。冷凍して半解凍の状態で食べると、シャーベットのような食感で、より爽やかに楽しめるそうです。
星光産業の柑橘ゼリーやビオ・マルシェオリジナルのジャムも、こうした丁寧な管理と人の手によってつくられています。ぜひ果実本来の美味しさを味わってみてください。
星光産業有限会社
愛媛県・今治市
20年以上にわたり、農薬や化学肥料を使用せず、柑橘の栽培から製造までを一貫して手がけています。現在の取締役である越智光孝さんは、三皿園4代目の故・越智章太郎さんの想いを引き継ぎ、日々柑橘づくりと製品づくりに向き合っています。