
有機レモンの栽培から、ジュレの製造まで|愛媛県・星光産業の一...
2026.6.26
2026年2月、有機柑橘の生産者・末岡農園(愛媛県)を訪れました。農園がある今治市大三島は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶしまなみ海道の途中にある島です。一年を通して温暖で晴れの日が多く、柑橘栽培に恵まれた環境。さらに、瀬戸内の海風をたっぷりと受けながら柑橘の味わいが育まれます。
今回は、末岡農園の末岡英治さんを訪ね、「有機うんしゅうみかんジュース」と「有機伊予柑ジュース」に使用している柑橘の圃場を見せていただきました。
末岡農園のジュースは、濃厚な甘みもありながらすっきりとした 後味で、何度でも飲みたくなる美味しさ。甘味と酸味のバランスと香りが良く、コク深い、しみ渡る味わいです。氷をたっぷり入れて飲んだり、炭酸で割ったりしても楽しめ、期間限定ながら毎年人気の商品です。こうした味わいの柑橘がどのように作られているのか、その美味しさの秘密を伺いました。
ジュースが生まれたきっかけ
ジュースが生まれたきっかけは、2023年の大干ばつでした。味は濃厚で美味しいのに、サイズが小さいため青果として出荷できない柑橘が大量に発生しました。末岡さんが廃棄するというところを、ビオ・マルシェの農産担当者が「ジュースにしてみては」と提案し、商品化につながりました。
「これまで捨てていたものがジュースになるのは嬉しい。飲んでくれる人が喜んでくれるのが一番。」と末岡さんは話します。
また、瀬戸内で育つ柑橘は、他の産地と比べてやや酸味が出やすい傾向があるそうです。その酸味こそが、ジュースにしたときの味の決め手になっています。
末岡農園の圃場は全部で約20カ所。
うんしゅうみかん、伊予柑、レモン、ブラッドオレンジなど多くの柑橘を育てているため、それぞれの品種に合った場所を選び、小さな面積ごとに分けて栽培しています。
訪問時にはすでにみかんの搾汁は終了していました。今年はみかんだけで収穫量30tと豊作だったそうです。今回はジュースに使用している伊予柑を中心に、レモンやブラッドオレンジの圃場を見学させていただきました。
※ビオ・マルシェでは青果として、有機みかん、有機伊予柑、有機レモン、有機ブラッドオレンジ、有機はるみ、有機はっさくのお取り扱いをさせていただいております。
1カ所目の圃場は収穫後でしたが、ここは特に日当たりが良く、美味しい伊予柑が育つそうです。実際に訪れると、日当たりと風通しがよく、気持ちのよい場所でした。
印象的だったのは木の低さです。作業性の良さにつながる一方で、枝の数を調整しながら日当たりを確保する必要があり、繊細な管理が求められます。樹齢20年以上の木々は葉も美しく、丁寧に手入れされている様子が伝わってきました。
収穫した伊予柑は倉庫で毛布にくるまれて保管されていました。毛布で包み温度と風通しを調整することで、青みの残る果実がゆっくりオレンジ色へと変化していくそうです。
2カ所目の圃場では、木になった伊予柑を見ることができました。日当たりが悪いと開花が遅れ、果実がきれいな扁平(平べったい)の形になりにくいそうですが、ここでは美しい形の伊予柑が一面に広がっていました。
続いてレモンの圃場を見学。レモンの木には棘があり、風が強いと果実を傷つけてしまうため、圃場は谷間に位置する場所が多いそうです。また、木は放っておくと高く伸びすぎて花付きが悪くなり、実付きも悪くなります。そのため、枝が横に広がるように剪定し、葉全体に日が当たるよう工夫をしているそうです。
最後に訪れたのは、ブラッドオレンジの圃場。ここでは雑草対策として、防草シート敷く工夫がされていました。今までは使用していなかったのですが、部分的に敷き、効果があるか試験をされているそうです。収穫前の段階でしたが、きれいな色と形のブラッドオレンジが並び、丁寧な管理がうかがえました。
有機栽培で特に大変なのは草刈りだそうです。約20カ所にも及ぶ圃場を、わずか3人で手作業で管理していると聞き、その労力の大きさに驚きました。
また、雪が降ると果実が凍り、特に皮の薄い品種は苦みが出ることもあるため、場所と品種を見極めながら栽培されています。近年は夏の暑さの影響で木が弱ることもあり、自然と向き合う難しさも感じました。
さらに、今年はイノシシによる被害も多く、圃場には柵の設置や音による対策もされていました。
広島県出身の末岡さんは、出作をきっかけに大三島へ。2000年から有機栽培を始め、それ以前は減農薬で栽培していました。有機栽培を始める前は、栽培から出荷まですべてを一人で担い、夜にフェリーで本土へ渡り、車中泊をしながら複数のスーパーに卸していたそうで、「体力的にも本当に大変だった」と振り返ります。その後、有機栽培に取り組む仲間とともにグループで有機JAS認証を取得。現在は個人で認証を更新しながら、25年以上にわたり有機栽培を続けています。
今回案内していただいた圃場はどこも丁寧に管理されており、長年柑橘と向き合い続けてきた末岡さんの想いが感じられました。ぜひ、末岡農園の柑橘のコク深い美味しさをジュースでも味わってみてください。
末岡農園
愛媛県・今治市
末岡農園は、大三島の瀬戸内海に面した急斜面で、有機JAS認証を取得した柑橘栽培に取り組んでいます。農薬を使用せず、豊かな生態系が保たれた畑で、みかんやレモンを丁寧に育てています。海風の恵みを受けて育つ果実は、味が濃く実がしっかり詰まっているのが特長です。見た目にばらつきがあっても皮まで安心して利用できます。また、品質に納得できない年は出荷を見送るなど、味と品質を何より大切にする誠実な姿勢が信頼を集めています。