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創業300年 昔ながらの静置発酵法で有機酢を造る庄分酢(福岡県大川市)

庄分酢

福岡県大川市・榎津地区に佇む老舗醸造元「庄分酢」を訪問しました。
こちらでは、ビオ・マルシェオリジナルのお酢を造ってもらっています。

庄分酢の本社・高橋家住宅は、延宝八年(1680年)の大火後に再建された建物で、大川市の指定有形文化財。もともとは造酒業から始まり、四代目・清右衛門が宝永八年(1711年)に酢の商いを始めて以来、300年以上にわたり伝統製法を守り続けてきました。

今回は15代目社長の高橋清太朗さんに蔵を案内していただき、昔ながらのお酢づくりの現場を見学しました。

 

原料へのこだわり「生産者との顔の見える関係」

15代目社長 高橋 清太朗さん

庄分酢で使用する有機米は、主に熊本県の契約農家から仕入れています。
「生産者さんと話していると、お米をどれだけ大事に育ててくれているかが伝わってくる。だからこそ、1粒1粒を丁寧にお酢にしようと思うんです。」と社長は話します。

お米だけでなく、使用する原料は“生産者との顔の見える関係”を大切にしており、稲刈りや収穫を手伝うこともあれば、春には「酢蔵開き」で生産者の方が野菜販売を行ったり、お客様へ農産物の説明をしてもらう場もつくっています。

価格の高騰や原料不足という課題はあるものの、生産者との長年の信頼関係が、原料まで顔の見える安心に繋がっています。

変えてはいけないもの、変えていくべきもの

庄分酢の製造方法の一部は10代目(明治時代頃)が書き残した「巻物」に記され、家宝として受け継がれています。温度管理の理屈も十分に解明されていなかった時代に、先人たちが口伝で蓄積し続けた知恵を記した貴重なものです。今でも静置発酵法という基本の製法は変わりませんが、時代に合わせた細かな変化は必要だと言います。

「2025年と1680年では、気温も水質も米質も違う。菌も進化している。基本の“自然の中でつくる”部分は変えないが、細かい部分は時代に合わせて変えていく必要がある。」

例えば、木桶にかぶせるむしろは自然素材だからこその通気性や保湿性は代えがききません。しかし、近年の猛暑では菌が夏バテして発酵期間が延びることもあり、昔より枚数を減らすなどの調整が必要になっています。

また、家庭でのお酢の使い方も変わってきていると話し、お酢の美味しさは守りつつ、活用の幅や伝え方を時代に合わせて工夫しています。

変えてはいけないものと、変えていくべきもの。
この両軸を持ち続けることが、庄分酢が300年以上歩んでこられた理由だと感じました。

 

庄分酢ならではのお酢で「体と心で美味しく、健康に」

300年以上続く酢造りを支えてきたのは、お客様や生産者の方々、先祖、そして共に働く仲間たちの存在。日々まっすぐにお酢づくりに向き合っていると、お客様から届く「おいしい」「健康になった」という声が何よりの励みになるそうです。

「選択肢が増えた今の時代だからこそ、静置発酵法でつくるお酢の価値は大きい。添加物を使わないものを選びたい人の受け皿であり続けることが、庄分酢の役割です。“体と心で美味しく健康に”。それだけです。」と社長は話します。

この想いは新しい商品開発においても一貫しており、“庄分酢がつくるべきものは何か”という判断基準になっているといいます。

 

一からじっくりお酢をつくる「静置発酵法」

庄分酢のお酢は「静置発酵法」という昔ながらの製法でつくられます。現代の主流である速醸法と比べて手間と時間がかかりますが、微生物による発酵のチカラでゆっくり旨みが生まれ、独特の深みと味わいのある酸味をもったお酢に仕上がります。

静置発酵法
発酵60~100日、手間と時間がかかる、まろやかで優しい酸味

速醸法
発酵1日(24時間)、短時間・低コスト、さっぱりしたツンとくる酸味

ここからは庄分酢のお酢ができるまでの流れをご紹介します。

① 酒づくり

お酢づくりは蒸した米と米麹でお酒をつくるところから始まります。酒づくりは寒仕込みといって、11月から3月の寒い時期に1年分を仕込みます。蒸した米は、蒸しあがった瞬間に必ず味見をし、蒸し具合・粒の硬さ・香りなどを職人がしっかり確認します。これは手作業ならではの良さであり、機械化されてしまうと再現できません。

② 酢酸発酵

できあがったお酒に種酢と酢酸菌を加えると、酢酸発酵が始まります。酢酸菌は空気のあるところでしか活動できないため、表面で発酵が進みます。その後、比重の重いお酢が下に下がり、お酒が上がってきます。表面温度40℃、底の温度20℃になることで対流が起き、この循環によって完全にお酒からお酢に変わります。お酒の発酵期間を含むと、お酢になるまでは半年弱かかるそうです。

液の表面で発酵が進んでいる様子

③熟成

熟成は「蔵付き菌」が棲みつく蔵で何か月もかけて行います。蔵付き菌は酢酸菌を活発化させる力を持っているといわれています。この熟成期間を経て、お米本来の豊かなコクとまろやかな酸味が味わえるお酢が完成します。

菌の影響で黒くなった発酵蔵

庄分酢では、醸造する酢の種類に合わせて3つの仕込み環境を使い分けています。それぞれの現場を見学しながら、特徴について詳しく教えていただきました。

タンク
有機純米酢、有機りんご酢など

木桶
一般的な醸造酢など

甕(かめ)
有機玄米黒酢、蔵付酢酸菌かすみくろ酢など

タンク

見学当日は、有機純米酢と有機りんご酢の仕込みをしていました。りんご酢は夏の高温でアルコール発酵が安定せず、季節によって仕込めない時期があります。こういった季節性のあるお酢はタンクでの仕込みが適しています。タンクには丸型と四角型があり、四角型は横幅が広く背が低いため、表面積が多く、より早く発酵が進むそうです。
酢酸発酵期間中は職人が手入れを行います。酢酸菌が広がるまでは毎日、広がってからは1週間に一度、タンクの中を確認して菌の状態を見極めます。また、蓋に木片をかませて空気の穴をつくりますが、気温によって木片の長さを使い分けているそうです。

タンク(丸型)
木片をかませた状態のタンク(四角型)

木桶

次に、昭和5年に建てられた「昭和蔵」を見学しました。ここには、酒蔵から譲り受けた9本の木桶が並び、1本あたりの容量は約3,000L。木桶職人の減少に加え、木が湿気を吸いながら収縮しているため竹の輪で締め続けなければならないなど、管理が非常に難しく、とても貴重です。木桶は香りが移るため「1桶1商品」での仕込み。さらに、空にすると乾燥して漏れの原因になるため、常に使用する必要があります。桶の中をのぞくと酢酸菌による膜が張っていて、丁寧な手入れの積み重ねが感じられました。

昭和蔵
木桶の中の様子

甕(かめ)

次に、黒酢を仕込む甕を見学しました。黒酢の製造には、半分地中に埋まった陶器製の甕を使用します。容量は400L、500L、600Lの3種類。仕込みは年2回(3月・9月)行われ、約3か月の発酵の後、熟成へと移ります。

菌の手入れがポイントで、雑菌が増えないよう基本的に毎日甕を確認します。特に立ち上がりの際は雑菌が入りやすく、手入れが重要な時期です。また、蓋には抗菌性のある和紙に耐水性の高い柿渋を塗ったものを使用し、菌が発酵しやすい環境を整えています。

玄米黒酢に使用する玄米は蒸し方にもこだわりがあり、蒸し上がりの30分前に水をかけて粒を割ります。そうすることで、より菌の発酵を促す効果があるそうです。

甕の中の様子

粕酢(赤酢)の製造

混合の様子

酒粕を使った粕酢(いわゆる「赤酢」)の製造現場も見せていただきました。当日は、1年間寝かせて長期熟成した酒粕をお湯で溶解、混合していました。
酒粕は酒屋によって水分量などが違うため、酒粕の柔らかさを見て時間や加える水分の量を調節。しっかりと混ぜないと抽出ができないため、一度に10〜20分ほど混ぜます。これを圧搾濾過した絞り液に種酢と酢酸菌を加えて酢酸発酵を行い、熟成して粕酢が完成します。

お酢の新しい楽しみ方提案

レストランで提供しているお酢料理

庄分酢では、現在約200種類の商品を展開し、季節商品や新商品も多数登場しています。お酢には、酸味をつけるだけでない“他の味の縁の下の力持ち”的な働きがあるそうで、カレーや焼き菓子に黒酢を入れるとコクが増す、ラーメンにお酢を数滴たらすと塩味と旨味が増して減塩にもなる、など新しい使い方も教えていただきました。

併設のレストランでは、レシピを聞かれたら全て教えているそうです。美味しかったらお家でもやってみてくださいね、がレストランのコンセプト。伝統製法のお酢をもっと広め、日常的に使ってもらいたいとおっしゃっていました。

 

ビオ・マルシェオリジナルの米酢

有機純米酢

香りがまろやかで優しい。旨みが強く、特にお米との相性は抜群なので酢飯やごはんと一緒に食べる漬物などに。

有機玄米酢

コクがあり発酵感が深い。香りが濃厚。酢豚などの肉料理や魚料理に◎。

有機玄米黒酢

国産有機玄米を原料に長期間甕の中で静置発酵。アミノ酸、有機酸が豊富でコクがあります。

 

ビオ・マルシェオリジナルの調味酢・飲用酢

有機すし酢

国産有機米で作ったまろやかな純米酢に、昆布のうま味たっぷりのだしを合わせました。ご飯に混ぜるだけで、簡単にすし飯が作れる優れもの。酢のもの料理にもご利用できます。

有機万能酢

有機米酢と有機りんご酢をベースに、昆布とかつおの出汁をブレンドして、まろやかな旨みに仕上げました。酢の物・サラダ・酢飯・南蛮漬けなどのお酢料理が手軽に作れる調味酢です。

また、「お酢は加熱すると飛ぶ」と言われることがありますが、酢酸の揮発温度は約120度。水よりも高いので、酸味は和らぐものの取れる栄養はほとんど変わらないそうです。

庄分酢で製造していただいているビオ・マルシェオリジナルのお酢も、こうした丁寧な工程と職人の技によってつくられています。

ぜひ日々の暮らしの中で、さまざまな使い方を楽しんでみてください。

庄分酢

福岡県大川市・榎津

江戸時代に創業した老舗酢醸造元。現在は15代目当主である高橋清太朗 がその伝統を受け継ぎ、木桶仕込みによる静置発酵という昔ながらの製法を守り続けています。
長い年月をかけて培われた蔵付きの微生物と、手間ひまを惜しまない醸造から生まれる酢は、やわらかな酸味と奥行きのある旨みが特長。時代に寄り添いながらも本質を大切に、日々の食卓に豊かな味わいを届けています。

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