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江戸末期創業、石臼仕込みで無添加の味を守る徳島県・四宮蒲鉾店

おでんセット
おでんセット

冬季限定の人気商品「おでんセット」が今年も始まりました。5種12個の練り物がはいったおでんセットは、「おでんはこれでなくっちゃ!」とファンの多い商品です。今回はその製造現場に立ち会い、あの美味しい練り物ができるまでの様子を取材してきました。

四宮蒲鉾店を訪ねて

四宮蒲鉾店(代表取締役社長 西久保正男さん)
有限会社四宮蒲鉾店(代表取締役社長 西久保正男さん)

「おでんセット」を作っているのは、徳島で江戸末期から185年、代々練り物づくりを続けてきた「四宮蒲鉾店」です。先代が食品添加物を使わない練り物作りを始め、6代目・西久保社長が今もなおその製法を守り続けています。取材中、社長の口から何度も出てきたのは「いつ食べても同じ品質を守ること」という言葉。お客様に安心して食べて欲しいという想いで、日々変化する魚の状態の違いに細やかに対応しながら、変わらぬ美味しさを届け続けています。

 

美味しさのワケは主原料の「すり身」

すり身用の魚

練り物の主原料となる「すり身」は、2種類。

ひとつは、北海道産スケトウダラを使った特注すり身。四宮蒲鉾店の練り物の約9割に使われています。魚・塩・甜菜糖だけで作られ、すり身によく使われるリン酸塩などの添加物は一切不使用です。

もうひとつは、地元徳島で仕入れた魚を自社で処理して作るすり身。「じゃこ天」に使用されるもので、アジ、鯛、イトヨリ、イボダイ、エソ、グチ、太刀魚など、その時期に獲れる魚をブレンドしています。

職人の技が光る「練りの工程」

2つ目のワケは「練りの工程」です。夏は30分程度、冬はさらに時間をかけてすり身を石臼で練り上げていきます。練り上げる際に、季節や魚の脂の量に応じて氷水の量や時間を調整するのは、まさに職人の勘と経験。
大量生産のものとは格段に違う、石臼練りならではのもっちりとした食感と魚の旨みが味わえます。

魚の旨みを活かす「厳選調味料」

味付けに使うのは、赤穂の天塩・種子島の洗双糖・三河みりん・北海道産馬鈴薯でん粉の4つのみ。魚の旨みが味わえるよう、調味料(アミノ酸等)は使わず、厳選された調味料で味付けしています。
つなぎには卵白は使わず、北海道産の馬鈴薯でん粉を使用。さらに、揚げ油には圧搾一番搾りの菜種油を使用するといった徹底ぶりです。

 

ちくわと揚げかまぼこ、それぞれの製法

製造は毎朝6時からスタートします。訪問した8月の製造現場は、蒸し風呂のような暑さでした。真冬は冷水で手がかじかむ厳しい環境下だそうですが、そんな中でも一つ一つ丁寧に作業されている姿が印象的でした。

ちくわと揚げかまぼこ、それぞれの製造工程に沿って、美味しさの秘密をご紹介します。

 

1.前処理

徳島県産ごぼう

練り物に使用する野菜は全て徳島県の市場から買い付けしています。仕入れた野菜は手作業で洗浄、皮むき、カットしています。

2.練り

すり身を粉砕している様子
すり身を粉砕している様子

北海道産スケトウダラの特注すり身を粉砕し、細かくしていきます。粉砕時間は季節によって変化する気温や湿度に応じて調整します。

粉砕したすり身を石臼に移して練り上げます。
この時、すり身が熱を持つとボソボソ感が出て、プリプリとした食感が無くなってしまうため、氷を一緒に入れます。
ここでも、気温や湿度に応じて練り上げる時間や氷の量を調整しているそう。
「日々変わるすり身の状態を見極めるのが一番難しい。」と社長は話します。

氷を入れて練り上げている様子
氷を入れて練り上げている様子

すり身をある程度練り上げたら、調味料を加えます。この時、でん粉がダマになることがあるので、時々手でかき取り、均一に混ざるように調整します。

手でかき取っている様子
手でかき取っている様子
練り上げ後の状態
練り上げ後の状態

3.型成→焼き上げ/油揚げ

竹ちくわ

竹ちくわ

徳島の名産品である竹ちくわ。

竹にすり身を巻き付け、ガスの炎でじっくりと焼き上げます。温度を調整しながら焼き色を見極めるのは、長年培われた技術が必要です。竹の端についたすり身をブラシで取り除く、膨らみを抑えるために針を刺すなどの細やかな工程によって、見た目にも美しい竹ちくわが出来上がります。

 

竹ちくわの機会に火をつけている様子
竹ちくわの機会に火をつけている様子
焼かれた後の竹ちくわ
焼かれた後の竹ちくわ

小ちくわ

小ちくわ

おでんセットにも入っている小ちくわ。竹ちくわと工程はほぼ同じです。竹の代わりに鉄の棒を使うことで、火が通りやすくなります。巻き付けから焼成、型外しまで機械が行いますが、焼き色や仕上がりを見極めるのはやはり人の目。焼きを失敗するとすべてが台無しになるため、ここも腕の見せどころです。

焼いている様子
焼いている様子

揚げかまぼこ

揚げかまぼこ
おでんセット

揚げかまぼこは、低温で形を整え、高温で色と香ばしさをつける二度揚げ製法。おでんセットにはごぼう天、イカ天、一口天、ボール揚げが入っています。機械で行う作業もありますが、手作業でなければ美味しさが損なわれる部分や、食品添加物を使わない分、機械化できない工程も多く、ほとんどが手作業です。なかでも、油に入れる瞬間に形が決まるため、ベテランのスタッフさんが手際よく形を整えていく工程は圧巻です。揃った形と美しい仕上がりは、長年の経験によるものだと実感しました。

ちぎり揚げを油に投入している様子
ちぎり揚げを油に投入している様子
ボール揚げが揚がった様子
ボール揚げが揚がった様子

4.冷却・金属探知機

ちくわを冷却している様子
ちくわを冷却している様子

焼きまたは揚げた練り物は冷却し、金属探知機を通します。

5.袋詰め・検品

四宮蒲鉾店
袋詰めをする様子
四宮蒲鉾店
真空シーラーを通す様子

冷却された練り物は袋詰めされ、真空シーラーを通り、最後は人の目でひとつひとつ丁寧に検品します。

食べ方いろいろ!おすすめアレンジ

四宮蒲鉾店の練り物はほんのり甘みを感じる優しい味なので、そのまま食べても十分美味しいですが、煮物やお味噌汁に使えば練り物から美味しい出汁が出て、より一層味わい深くなります。また、ちくわを縦に切り、チーズや紅しょうがをのせてピザ風にするのもおすすめだと、四宮蒲鉾店のベテランスタッフさんに教えてもらいました。

冬の食卓を温めてくれる「おでんセット」で、厳しい冬の寒さを乗り越えましょう。

四宮蒲鉾店(代表取締役社長 西久保正男さん)

徳島県の漁師町にある四宮蒲鉾店は、江戸末期の天保11年(1840年)から続く、練り物屋さんです。新鮮な生魚をふんだんに使用し、石臼で丁寧に練り上げることで、旨味たっぷりのもっちりとした食感を実現しています。保存料や合成着色料を使わず、北海道産の馬鈴薯澱粉や非遺伝子組み換えの菜種油など、厳選した素材を使用。洗双糖や本みりん、赤穂の天塩などで味を整えています。

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