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春の味覚 有機京たけのこを探しに、オーガニックファーム大八木を訪れました。

3月の終わり、まだ少し寒さが残る頃。「京たけのこ」の本場・西山大原野にある、オーガニックファーム大八木を訪れました。大八木さんのたけのこは、宅配会員限定のサービス「とれたて産直便」でご購入いただけます。
貴重な有機の野菜や果物を、一番新鮮・一番おいしい状態で、産地から直接お届けしています。

京都駅から車で約30分。桂川を超え西の方角に向かいます。周りを見渡すと菜の花がたくさん咲いていて、日差しからは春の気配が感じられます。
このあたり一帯の土壌は酸性の赤粘土で、やわらかく水はけが良いことから、良質なたけのこが採れることで有名です。目的地に近づくにつれて、ところどころに竹林が見え始めます。本通りから脇道に入ったところが、オーガニックファーム大八木の竹林です。

 

竹林に足を踏み入れると、まるで別世界。イメージしていた竹やぶとは違い、丁寧に手入れされた庭園のようです。
迎え入れてくれたのは、大八木 和明さん。まずは、京たけのこや京都式軟化栽培法について教えていただきました。

 

京都式軟化栽培法の白子筍(しろこたけのこ)

京都式軟化栽培法とは、作物に日光が直接当たらないように育てる方法で、京野菜を育てるために受け継がれてきた伝統的な技術です。柔らかい土を深く耕し、遮光と保温ができるように藁や土を何層にも重ね、ふかふかの布団のような状態を作ります。この方法で育てられたたけのこは、白子筍と呼ばれます。たけのこが地上に頭を出す前に、地面を30cm以上掘りすすめて収穫をします。土の中で育った真っ白な白子筍は、柔らかくてほんのり甘い味わいが特徴。えぐみもほとんどありません。一般にはほとんど流通しておらず、京都の老舗料亭で提供されるなど、高級食材として扱われています。

 

白子筍栽培の一年

白子筍栽培の一年を説明してもらいました。

春(3月下旬~5月頃)収穫
一本一本、丁寧に掘り上げたあと、穴を掘った場所に「お礼肥え」の肥料を施します。

初夏~夏(5月~8月頃)親竹を選ぶ
収穫を終えると「選定」をします。次の年のために「親竹」となる健康な若竹を選び、古くなった竹を間伐します。5月中旬頃になると、5~6mほどに成長した親竹の先端を折る「芯止め」をします。これは、竹の成長を止め、養分が地下茎に回るようにするための作業です。竹林の雑草を取り除き、葉全体に日光を行き届かせて、光合成をしやすくしたり地面を温めたりする目的もあります。夏になると、風通しを良くするために、竹林の整理や草刈りなどの作業も欠かせません。


秋(9月~11月)

稲刈りが終わると、「藁敷き」をします。これは、収穫後の藁や草を被せる作業で、寒い冬を乗り越えられるように保湿や保温をするのが目的です。


冬(12月~2月)

藁敷きを終えたあとは、「土入れ」です。たけのこが地上に出るのを防ぎ、光を遮るために土を盛ります。土は竹林のすぐそばにある圃場から掘ってきて、足しています。土入れをして圃場をふかふかにすることで、柔らかいたけのこを作ることができます。

 

特別に、たけのこを掘ってもらいました

この日、到着したのはお昼前。いつもは、日が昇り始める時間帯に収穫をしていますが、特別にたけのこを掘って見せてもらいました。
歩きながらあたりを見回し、地面を指さし「ここですね」と、大八木さん。

 

地面にできたヒビ

私たちスタッフには、地面しか見えません。よく見ると、地面に小さなヒビが入っていて、この下にたけのこが埋まっているというのです。

収穫には、「掘り」と呼ばれる京都式軟化式栽培法専用の農具を使います。たけのこは深さ50cmほどの土の中に埋まっているので、刃先までの長さは1m近くあります。掘り進めるにつれて、たけのこが姿を現してきます。最後に堀りの先でたけのこと地下茎を切り離し、あっという間に掘り上がりました。

 

採れたたけのこは、かごの中へ入れて運びます。かごは竹でつくられており、通気性が良く持ち手もとても丈夫で、使い勝手が良いそう。プラスチックのかごを使ってみたこともあるそうですが2~3年でだめになってしまったそうです。昔はどこでもみられたようですが、いまでは職人が2人になってしまったとも話されていました。

 

この「掘り」を使った収穫は、体力と技術、経験が必要。うまく掘れるようになるまで、数年~10年ほどかかると言われています。大八木さんも6~7年の経験を積み、産地のベテランと同じ速さで掘れるようになるまで10年かかりました。たけのこ栽培はゼロから手探りで始めたため、栽培管理や収穫の技術など一から研究しました。近隣の農家の方々に教わりながら、自らの栽培方法を模索、構築しました。

 

スタッフもたけのこ掘りに挑戦

 

「せっかくなので、やってみませんか?」と大八木さん。
たけのこが埋まっている場所を教えてもらいました。実際に掘りを持ってみるとずっしり重く、うまく持てません。まずは握り方から教わりました。テコの原理を使って掘るイメージで、「貴重な白子筍を傷つけては大変」とおそるおそる土を掘り進めると、ようやくたけのこの根元の地下茎にあたる音がします。最後の一刺しは、力加減が難しく、1本を堀り上げるまで15分以上かかりました。翌日は、腕と足の付け根当たりが筋肉痛になるほど。

 

採れたてを試食させていただきました

掘ってすぐなら、生でも食べられるとのこと。さっそく、その場で試食させてもらいます。人生初めての生のたけのこ。ヤングコーンのような香りで、ほんのり甘みがあります。火を通していないのにとても柔らかく、えぐみもありません。掘りたてをさっと湯がいて、お刺身にしても食べられるそうです。

 

有機栽培について

有機農業との出会いから認証取得まで

スタッフ:伝統的な栽培法で、かつ希少な白子筍栽培に加え、有機栽培の基準も満たすとなると、かなり大変なのでは?

大八木さん:100年以上昔は、有機栽培が慣行栽培だったからね。その時の栽培方法を受け継いでいます。
2009年に地域で農業塾をされている方に弟子入りして、たまたま出会ったのが有機農業だったんです。塾長との出会いや、何より野菜の美味しさに感銘を受け、2014年に有機JAS認証を取得しました。
当時は、たけのこの有機栽培をされている方はほとんどいなかったので、有機JAS認証の取得に必要な申請書類の書き方などの事例がなく、そういった部分はとても苦労しました。

有機栽培と慣行栽培の違いについて

スタッフ:有機栽培と慣行栽培の違いについて教えてください。

大八木さん:慣行栽培(化学肥料や農薬、除草剤などを使う、一般的な栽培方法)との違いは、肥料です。慣行栽培では、たけのこ用の化成肥料というのが売られていてそれを使います。

私の畑では、油粕と鰹の魚粕、それに自家製の竹チップなどの有機肥料を使っています。
色々試してみましたが、たけのこ料理に使われることの多い出汁にも合うこと、食味が良いものを選ぶうちに鰹の魚粕にたどり着きました。どれも美味しいんですけどね。

それと、竹チップには乳酸菌が含まれていて、乳酸菌がえぐみを取って甘みを引き出してくれる効果もあります。油粕は、安全面から、油を抽出する際に化学処理がされていない、圧搾絞り(機械絞り)のものを使っています。

食べた後に美味しさの余韻が残るようなたけのこづくりを目指して、何度も試行錯誤を繰り返してきました。

 

2025年の京たけのこの出来どうですか?猛暑などの影響はありましたか?

全国的には裏年とされていますが、ここの圃場は表年です。立地的に低くなっている場所にあり、恵まれているからだと思います。けれど、昨年(2024年)の夏は猛暑で雨が少なかったり、たけのこが最も水を欲しがる時期なのに夕立が全く来なくなったり、気象パターンの変化で収量が減少しています。冬も雨が少なく3月後半から気温が低くなったことで、たけのこが大きくなるには厳しい状況でした。その影響で、今年は収穫を始める時期がかなり遅れました。また、周辺の圃場では、シナチクノメイガという竹の新芽を食害する害虫が発生しており、これが収量の減少につながっていると聞きます。残念ながら、収量も生産者も年々減ってしまっています。

 

善峯寺(京都市西京区)からの景色

帰り際に、近所にある大原野神社へ行ってみようと話していたら、「それならこのあたりの景色が一望できる善峯寺(よしみねでら)も良いと思います」とすすめていただき、立ち寄ってみました。
西山の山の中まで車を走らせ、そこから階段で山の上へ登っていきます。ようやくたどり着いた境内からは京都の街や比叡山、絶景が広がっていて思わずため息がこぼれました。
あのあたりが、大八木さんの竹林かな?かなり遠くに大八木さんの竹林が見えた気がしました。

桜の花も、来週あたりには満開を迎えそう。たけのこ掘りの余韻とともに春を感じながら帰路につきました。

 

 

大八木 和明さん(オーガニックファーム大八木)

京都市の嵐山、桂川からほど近い西山大原野で、京都式軟化栽培、有機JAS認証取得の京たけのこを栽培。たけのこの他に、京の伝統野菜である有機聖護院大根・有機海老芋・有機九条葱などの野菜も栽培。代々引き継がれた畑は、大八木さんで四代目。
大八木さんが師匠と慕う有機農業塾の有機圃場からもビオ・マーケットへ有機野菜を出荷していただいています。

大八木さんよりメッセージ
お客様のお口に入り身体となるものを提供している以上、安全であることが第一だと考えています。さらに、作物の美味しさに磨きをかけてお客様にご満足いただける作物づくりを真摯に取り組むことが目標です。

湯がいているときから漂う甘い匂い、淡い色や柔らかい食感、口に入れたときに優しくも強い味わいにこだわっています。春の訪れとともに芽吹く旬の筍の味わいを、ぜひ一度召し上がってください。

大八木さんおすすめの食べ方
好きな調理方法は、「若竹煮」です。出汁にしょう油などで味つけをして、薄味に仕上げます。たけのこの香りや筍本来の味が楽しめます。子どもたちには、刺身やたけのこご飯が好評です。

白子筍 あく抜き茹で時間

小サイズ 30~40分(一般のものは1.5時間)
中サイズ 40~50分(一般のものは2時間)
大サイズ 50~60分(一般のものは3時間)

販売について

大八木さんのたけのこは、宅配会員限定のサービス「とれたて産直便」でご購入いただけます。貴重な有機の野菜や果物を、一番新鮮・一番おいしい状態で、産地から直接お届けしています。

とれたて産直便 大八木さんの有機たけのこ 2kg 5,980円(税込)
生産者:オーガニックファーム大八木/京都
お届け期間:2025年3月20日~4月20日頃(完売御礼)

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