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老舗製麺所「出雲たかはし」を訪問 ~国産有機小麦の風味を味わう、無かんすいの冷やし中華~

無かんすい冷やし中華

夏季限定の人気商品 ビオ・マルシェの「冷やし中華」が今年も始まりました。2024年4月10日、今年1回目の製造現場に立ち会い、あの美味しい麺ができるまでの様子を取材してきました。

 

出雲たかはし

出雲たかはし

ビオ・マルシェ オリジナルの「冷やし中華」を製造するのは、島根県雲南市にある「株式会社出雲たかはし」です。工場の向かいには田植え前の田んぼが広がり、訪問時には綺麗な桜が咲いていました。自然豊かな山間で水も綺麗な地域に工場はあります。

“出雲”と言えば蕎麦のイメージが強いですが、出雲たかはしでは、蕎麦・うどん・中華麺と多種類の麺を作っており、約300種類ほどの商品を製造しています。“限りなき麺作りへの挑戦”を続けていくことを事業目的に掲げ、気候や原料により日々変化する製造条件にも対応しながら、徹底的にこだわり抜いた麺作りに取り組んでいます。

 

ビオ・マルシェ オリジナルの「冷やし中華」

冷やし中華(しょうゆ)

ビオ・マルシェの契約農家で栽培された国産有機小麦粉を使い、無かんすいで、3段熟成を経て作られるオリジナル麺。もちもち食感と有機小麦粉の風味で人気の高い商品です。その製造工程に沿って、美味しさの秘密をご紹介します。

 

風味の決め手は「国産有機小麦粉」

ビオ・マルシェの契約農家で作られた有機小麦粉
ビオ・マルシェの契約農家で作られた有機小麦粉

海外産の小麦粉に比べ、国産有機小麦粉はグルテンが弱いという特性があります。
そもそもグルテンとは、小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が水を加えて捏ねることで、絡み合ってできる成分のこと。麺のコシやもちもち食感はグルテンによるものです。グルテンが弱いことで上手く生地が繋がらないなど扱う上では難しい点があります。しかしながら、国産有機小麦粉の最大の特徴は「風味の良さ」です。

小麦粉は灰分(ミネラル分)が多いほど、風味・香りが強いと言われています。有機栽培の小麦は、灰分(ミネラル分)が豊富なことが特徴でもあります。「小麦の味がしっかり感じられる」と評判の有機小麦粉で作る麺は、なんといっても風味が最大の魅力。

左:ビオ・マーケット スタッフ 右:出雲たかはし 樋野様
左:スタッフ 右:出雲たかはし 樋野様

今回工場を案内いただいた、出雲たかはしの樋野さんも「ビオさんの麺は香りが全然違います!」と仰るほど、数々の麺を試食してこられたプロも納得の風味の良さです。

 

風味を際立たせる「無かんすい麺」

2つ目の特徴は「かんすい」を使っていないことです。一般的な中華麺には、「かんすい」と呼ばれる食品添加物が使われていることが多くあります。しかし、ビオ・マルシェの「冷やし中華」は、「かんすい」を使用しない「無かんすい麺」です。一般的にはかんすいを使用することで中華麺の風味と色が付きますが、かんすいを使わないことにより、独特の臭みが消え、国産有機小麦粉の風味がダイレクトに感じられるのも、美味しさの秘訣です。

 

風味の良さ、コシの強さをじっくり生み出す「3段熟成」

熟成とは、麺の風味や食感を良くするために製造工程の中で特定の時間を掛けて生地や麺を寝かせる(休ませる)ことです。しなやかでコシのある麺は、製麺時の3段熟成(3度熟成をかけること)によるもの。
熟成だけで数日かかるため、一般的な製麺所では、生産効率を優先して、熟成工程を省くことが多いそうです。一方、「出雲たかはし」では、じっくりと熟成させてコシを出し、有機小麦の美味しさも引き出しました。

 

麺づくりの工程

1.ミキシング

強力と中力の有機小麦粉をブレンドし、真空ミキサーの中に入れます。貝殻焼成カルシウムと、食塩水も入れて、真空状態で約20分混ぜ合わせます。真空にして減圧状態にすることで、小麦粉の細胞の中まで水がしっかりと浸透します。加水率(粉に対する水分の割合)も季節や気温に応じて調整します。

 

真空ミキサーへ原料を投入する様子
真空ミキサーへ原料を投入する様子

国産有機小麦粉は、強力粉(品種:ゆきちから)と中力粉(品種:ネバリゴシ)を2対1の割合でブレンドしています。もともとは中力粉のみでしたが、有機小麦粉の特性や仕上がりを考慮した結果、現在の配合に至りました。

真空ミキサーで原料が混ぜ合わされた様子
真空ミキサーで原料が混ぜ合わされた様子
ミキシング後の状態

ミキシング後の状態は手の感触で確かめます。軽く握るとまとまるくらいに水分を含んだ状態で、ここは経験により培われた感覚が頼りになる重要な工程です。この生地を熟成コンベアに流し込み約15分熟成します。(1段階目の熟成)この時点で有機小麦粉のグルテンは活性し生地が繋がる準備が出来た状態ですが、生地はまだ粉状でまとまっていません。

生地をコンベアに流し込み1段階目の熟成開始
生地をコンベアに流し込み1段階目の熟成開始

2.粗製麺帯

圧力をかけて帯状になった生地
圧力をかけて帯状になった生地
ミキシング後の生地と、ローラー後の生地の状態比較

熟成後、粉状の生地をコンベアで流し込み、ローラーで圧をかけて帯状の粗製麺帯といわれる生地にします。圧をかけることで活性したグルテンが繋がりを持ち、麺となる為の骨格が作られ、小麦粉同士がまとまり平らな生地になります。

3.麺帯熟成

熟成庫
熟成庫
熟成庫の中で熟成されている帯状の生地
熟成庫の中で熟成されている帯状の生地

帯状になった生地を熟成庫に移して、約20分間ゆっくりと時間をかけて熟成をおこないます。(2段階目の熟成)ローラーでプレスされた生地はグルテンが硬化し脆い状態になっているため、この熟成庫で一旦グルテンを休ませることで復活させます。程よいコシともちもち感を出すのに必要な熟成時間です。時間が長すぎてもグルテンの力が弱まって生地がダレてしまうため、試行錯誤の結果、現在の熟成時間に至りました。

4.圧延・切り出し

熟成された麺帯をローラーで圧力をかけて徐々に薄く引き伸ばす「圧延」という工程を経て、JIS規格で決められている20番手と言われる麺の太さ(1.5㎜幅)に切り出します。

圧力をかけて徐々に薄く引き伸ばされる麺帯
圧力をかけて徐々に薄く引き伸ばされる麺帯
規格に合った太さで切り出される麺
規格に合った太さで切り出される麺

5.袋詰め・検品

切り出された麺は袋詰めされ、重量チェッカー・金属探知機と順に通って、最後は人の目でひとつひとつ丁寧に検品します。

金属探知機を通過する麺
金属探知機を通過する麺
ひとつひとつ最終検品する様子
ひとつひとつ最終検品する様子

6.バケット保管

検品後はバケットに入れて保管しますが、ここで完成ではありません。袋詰め後は「脱気」と「水和」を行うために、一晩常温、一晩冷蔵で寝かせます。(3段階目の熟成)麺の中の余分な空気が取り除かれ透明感とコシのある麺に仕上がります。出来立てほやほやが必ずしも美味しいわけではなく、しっかりと全体に水分が行きわたり、美味しく仕上がるまでゆっくりと寝かせます。

検品後、バケットに保管された麺

7.最終梱包

2袋入り1パックの状態に最終梱包します。3段階の熟成を経て、お客様の手元に届く頃に麺が一番美味しい状態になるタイミングで出荷されます。

手作業で行われる梱包の様子
手作業で行われる梱包の様子

楽しみ方いろいろ!おすすめのトッピング

醤油ベースのタレで食べる場合は、「浅漬け」をトッピングするのもおすすめとのこと。付属のタレは醤油ベースですが、ごまダレにアレンジして食べる場合には、「ごぼうサラダ」をトッピングしても美味しいですよ、とおすすめのトッピングも教えていただきました。ビオ・マルシェの有機野菜と一緒に、さらに美味しく味わいたいですね。暑い日でもスルスルと食べやすい麺で、この夏も乗り切りましょう。

冷やし中華 しょうゆ味

国産有機小麦を100%使用し、無かん水でありながらコシのあるしなやかな生麺。スープは素材本来の旨味、香りを追求した和風仕立ての自信作です。

冷やし中華(しょうゆ)
原材料
めん(小麦粉(小麦(国産))、小麦たんぱく、食塩/貝殻焼成カルシウム)、スープ(醤油、醸造酢、砂糖、食塩、ごま油、チキンエキス、酵母エキス)、(一部に小麦・大豆・ごま・鶏肉を含む)
内容量
280g(めん100g×2、スープ40g×2)
保存方法
要冷蔵(5℃~10℃)
販売
(株)ビオ・マーケット
出雲たかはし

昭和24年(1949年)7月1日創業。島根県雲南市の老舗製麺所。中華麺、そば、うどん、そうめん、パスタなど、約300種類ほどの麺を製造。

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