島根県の奥地 弥栄町「やさか共同農場」を訪問してきました
2024.9.16
ビオ・マルシェ創業当時から有機野菜を出荷いただいているオーガニック農家、原田ふぁーむ(大阪府能勢町)。有機農業をはじめて約40年。今回は、代表の荒木さんに旬の有機きゅうりや有機トマトの畑をご案内頂きながら、慣行栽培から有機栽培に転身されたきっかけや有機農業を次世代につなぐ取り組みなど、貴重なお話を伺いました。
大阪府豊中市にあるビオ・マルシェのセンターを出発し、車に揺られること約40分。自然豊かな能勢町に到着しました。
大阪の最北端に位置し、京都と兵庫に囲まれた能勢町。町のほとんどが山林と田畑です。ゆるやかな山並みを背景に、山の裾に家々が集まり、その周りに田畑がのびやかに広がる「里山」の町です。
この日は、原田ふぁーむの皆さん総出で迎えていただきました。
写真:左から 荒木沙蘭さん 荒木隆さん 原田富生さん 菅原玲子さん
原田ふぁーむは、創業者の原田富生さんが実家の畑を継ぐ形で始まりました。継いだ当初は慣行栽培でしたが、「安心して食べられ、より価値のある野菜を作りたい。」との想いで、有機JASの認証を取得。それから40年以上にわたり、能勢町の気候に適した四季折々の有機野菜を栽培しています。
また、原田さんが20代の頃は宅配業もされていました。約10年間、自身で作った野菜を自らの手で大阪市内に届けていたそう。けれども、ご病気をされ、宅配業の継続が難しくなりました。そんな折、原田さんと「ビオ・マルシェの宅配」の創業者である関信雄が出会い、取引が始まりました。それから今日まで約30年間、ビオ・マルシェの宅配を通じて「大阪の地場野菜」を関西圏、さらには全国の皆さまにお届けしています。
能勢町は山々に囲まれる自然豊かな地域でありながら、大阪市内へ約1時間というアクセスの良さが農業を営む大きなメリットになっています。
原田ふぁーむは、知識と技術を次世代に繋いでゆくことにも力を入れています。新規就農を目指す研修生を受け入れ、日々の作業を通じて有機栽培のノウハウを伝授しています。研修生の受け入れを始めてから20年間。送り出した十数名の卒業生の中には、学んだ技術を生かし、新規生産者として有機野菜を栽培・出荷している方もいらっしゃいます。(写真:一番右 研修生の飛坂さん。今では独立し、能勢町で就農されています。)ビオ・マルシェの宅配に出荷していただいている「成田ふぁーむ」の成田さんも、原田ふぁーむの元研修生です。
畑の見学前に、原田さんのご自宅へ。今後の有機野菜の出荷計画を相談させていただきました。
ビオ・マルシェの宅配では、1年を夏秋と冬春の2期に分け、出荷品目について相談と依頼をしています。そのため、最低でも年に2回は生産者の元を訪れます。
今回の主な議題は、今冬から来春にかけての出荷品目の依頼です。有機ほうれん草や有機小松菜などの葉物野菜を中心に依頼しています。栽培においての苦労やお客様からの要望など、作り手と売り手が両者の意見を交換し、面と向かって話し合える貴重な時間です。
ここで、原田ふぁーむが育てるメインの有機野菜をご紹介。
春:有機レタス、有機サニーレタス
夏:有機つるむらさき、有機きゅうり、有機トマト
秋:有機パプリカ、有機モロッコいんげん、有機黒豆枝豆
冬:有機ほうれん草、有機小松菜、有機春菊
次に、代表の荒木さんに畑を案内していただきます。荒木さんは、今後の原田ふぁーむを担ってゆく後継者です。案内の道すがら、荒木さんが原田ふぁーむで働くことになったお話を聞きました。
荒木さんは30代の頃、家庭菜園をきっかけに農業に興味を持ち、脱サラしました。その後、友人の紹介で原田ふぁーむを知り、研修を始めました。今年で9年目になり、奥さんの沙蘭さんと共にご夫婦で原田ふぁーむを支えていらっしゃいます。
この日は、収穫が最盛期を迎えようとしている有機きゅうり・有機トマトの畑を見学します。ふと目をやると、有機きゅうりの葉で一休み中のアマガエルを見つけました。有機栽培の畑には様々な生き物が暮らしています。
荒木さんが有機栽培で最も苦労しているのは「栽培のマニュアルがなく、計画的に出荷することが難しい」ことだそう。化学的に合成された農薬や肥料を使わない栽培では、病害虫や気候変動の影響を大きく受け、安定出荷が難しくなります。そのため、毎年栽培している有機きゅうり・有機トマトなどは、病害虫や気候の変化に合わせて品種や栽培方法を模索し、試行錯誤しながら取り組んでいます。
実は、原田ふぁーむの皆さんは生産者でありながら、ビオ・マルシェの宅配会員様でもあります。いつも野菜セットや加工品をご注文いただいています。他の有機農家さんが作った野菜と原田ふぁーむの野菜を食べ比べ、どんな風にお客様の手元に届いているのかを知ることが、より良い野菜作りに役立っているそうです。
原田ふぁーむでは、沙蘭さんの「トマトとひき肉のオーガニックドライカレー」が大人気です。ビオ・マルシェのオーガニックカレールウと畑で採れた有機トマトをたっぷり使って作るそうです。レシピを教えていただいたので、ぜひお試しください。
・オーガニックカレー…大さじ3
・豚牛合挽ミンチ…200g
・有機トマト…3個
・有機玉ねぎ…1個
・有機なす…1本
・有機にんにく…1片
・有機生姜…少々
・塩、コショウ…適量
1.有機にんにく・有機生姜・有機玉ねぎをそれぞれみじん切りにする。有機トマト・有機なすは1cm程度の角切りにする。
2.フライパンに油(分量外)をひき、有機にんにく・有機生姜を炒める。
3.有機玉ねぎ・有機なす・ひき肉を加えて炒める。
4.すべてに火が通ったら有機トマトを加えて煮込む。
5.オーガニックカレー粉・塩・コショウで味をつけて完成!
お好みで温泉卵やパセリをトッピングしてお召し上がりください。
荒木さんご夫婦が有機農業をしていて幸せを感じることは、旬の有機野菜をたらふく食べられること。宅配会員様からも毎年大人気の「有機黒豆枝豆」の収穫期(10月)には、お茶碗いっぱいの枝豆を2人で食べるそう。生産者だからこそできる贅沢なひと時です。
荒木さんのお子さんは野菜が苦手だそうですが、原田ふぁーむで育てた有機とうもろこしは喜んで食べるそうです。
「街を耕す八百屋」としてスタートしたビオ・マルシェ。有機契約農家さんの数も、今では全国約300件まで広がっています。
農業生産による環境への負荷をできる限り低減し、環境や多様性に富む生きものとの調和性を大切にする。有機農業を通じて、持続的に農作物を作り続けられることができる大地を守り、豊かな環境を未来の子供たちに残していきたいと考えています。
ビオ・マルシェの畑を訪ねてでは、全国各地の生産者の有機農業への想いや畑の「今」を、他にもたくさんご紹介しています。