
「まるで宝箱」希少な有機いちご かみむら農園 収穫体験レポ...
2025.5.13
これからが旬のとうもろこし。今回は、和歌山県紀の川市にある井上農園を訪れ、有機とうもろこし栽培におけるこだわりや農園の工夫についてお話を伺ってきました。
紀の川東ICから車で20分ほど。紀の川を渡す新竜門橋を越え、龍門山の方へ向かいます。山へ近づくと果樹園や住宅街が並んでおり、そこを抜けながら緩やかな坂を上り続けると…。
龍門山の麓に見えてくるのが井上農園です。
訪問したのは、5月中旬。ヤングコーンもこれからといった時期でしたが、青々とした景色に自然との一体感を感じました。
有機JAS認証を取得したのは5~6年前。
もともとお父様が有機栽培でキウイフルーツや玉ねぎを作っていましたが、井上さんご本人は、まず減農薬や特別栽培からスタートしました。そこから、もしかしたら自分も有機で作れるかもと、有機玉ねぎを作り、次に有機ブロッコリー、だんだんとステップアップをして、有機とうもろこしの栽培に辿り着いたそうです。
栽培しているとうもろこしの品種は、「ゆめのコーンビック85」。甘味がガツンとくる中に、ちょっとコクがあるのが特徴です。一般的には粒が黄色いイエローコーンが多いですが、この品種は、黄色と白色の粒が混在する「バイカラーコーン」です。
井上さんの土づくりで最も重要なポイントは、「畝立て」をする時の水分の管理です。「畝立て」とは、とうもろこしを植え付ける前に、畝を作る作業のこと。
水分が多すぎても少なすぎてもダメ。畝を立てた時にフカフカになるように、とうもろこしのベッドを作ります。そうすることで、根が張りやすくなり、土がしっかり水を保って柔らかい状態が続き、とうもろこしにとってストレスのない環境をつくることができます。
苗の植え方にも工夫があります。「千鳥植え」という方法で、苗を千鳥の足跡のように互い違いに植えていきます。こうすることで、光があらゆる方向から差し込み、とうもろこしに栄養が溜まりやすくなります。
とうもろこし栽培でいつも考えているのは、化学肥料や化学農薬が使えないなかで、「どうやったら、とうもろこしが素直に育っていくか」。
今年は特に栽培期間について対策したそうです。
とうもろこしの旬は6~7月ですが、7月を過ぎると害虫であるカメムシが活発に動きはじめます。カメムシはとうもろこしの皮の上から口を突き刺して実を吸うため、他の害虫とは違い、剥いてみなければ食べられたかどうかが判別できません。残念なことに、現状では有機JASの枠組みの中で使用できる資材(薬剤など)がないため、一度発生してしまうと成す術がありません。
「有機栽培だから仕方ない」と言ってくれるお客様もいますが、せっかく高いお金を払って選んでくれた方の期待を裏切ることはできません。
そこで今年は、カメムシの被害を少しでも抑えるために、栽培終了時期を早めることにしました。去年の終了時期は7月中旬でしたが、今年は、カメムシが活発になる少し前の、7月初旬に変更しました。期間は1週間短くなりますが、品質の良いとうもろこしの数が増えることで、結果として去年よりもたくさんのとうもろこしがお届けできる予定です。
栽培時期を早めることのメリットはそれだけではありません。
7月頃になると、夏場で夜間の温度が高いので、とうもろこしが糖分を蓄積するためのエネルギーを、呼吸に使ってしまいます。
一方、6月のうちはまだ夜間の温度が比較的低いため、日中の温度との差が大きくなり、糖分の消費が少なくて済みます。つまり、より甘くて美味しいとうもろこしを栽培できるというわけです。
実は、井上さんにはとうもろこし花粉のアレルギーがあります。
とうもろこしの花粉の時期には、くしゃみ・鼻水・目や肌のかゆみといった症状が出てしまうため、ゴーグルや面をし、全身カッパのようなものを着て、さらに薬を飲んでから畑に入ります。
それでも井上さんは「お客さんの反応があるから続けられる」と熱く語ります。実際にとうもろこしを食べたお客さんからは「とうもろこしって、こんなに美味しいの!?」と他の作物には無いほどの良い反応をいただくため、それがやみつきになってとうもろこし栽培をやめられないそうです。
井上さん曰く、有機農業に取り組んでいると、毎年新たな課題が生まれるそう。全ての課題を解決することはなかなか容易な事ではありませんが、自分を追い込み、農家としてより高いハードルにひたむきに挑んでいくことで農家としての熟練度が上がっていくことが楽しさにつながっているといいます。
今回の訪問で、「いかに欠品を減らし、美味しいものを届けられるか」と試行錯誤を重ねる井上さんの様々な取り組みを知り、作り手の苦労や想いを実感することができました。
2025年6月21日(土)、井上農園でとうもろこしの収穫体験イベントを開催します。
イベントでは、とうもろこし畑の中に入り、間近で見て、触って、食べることができます。
井上さんから直接お話しが聞けるのも、収穫体験の醍醐味です。
こだわりが詰まった有機の畑と、もぎたてでしか味わえない美味しさをぜひ体験してみませんか。
10:00 イベント開始・説明
10:20 収穫体験(30分程度)
11:00 井上さんのお話
11:30 終了
協力:井上 達也さん(井上農園)より メッセージ
いつもありがとうございます。紀州富士と言われる龍門山の麓で野菜を作っています井上農園、井上達也です。
見て、触れて、食べて、交流して。楽しい会にしましょう。お待ちしています。