【東京】「有機北里八雲牛のおはなし&国産有機牛のスペシャルラ...
2024.9.9
9月24日、オーガニックポークの生産者であるジュード・ベッカーさんの来日にあわせて、大阪・京橋にあるBROWN CAFE/BARにてオーガニックランチイベントを開催致しました。
イベントは、ジュード・ベッカーさんの「ハジメマシテ!ジュード・ベッカーデス!」という元気な挨拶とともにスタートしました。お勉強中だという日本語での挨拶と素敵な笑顔で、会場はとても和やかな雰囲気に包まれました。
今回は、ビオ・マルシェの食材をふんだんにご使用いただいたオーガニックランチを食べながら、オーガニックポークの飼育方法や、厳しい有機畜産の基準、そして、美味しさのワケなどについてお話を伺いました。
ジュード・ベッカーさんは、アメリカのアイオワ州でベッカーレーンオーガニックファームの6代目としてオーガニックポークを育てています。
ベッカー家では先祖代々、有機的な農法で取り組んでいたことに加えて、ベッカーさんご本人が「環境」や「地球」に配慮した農業をしたいという想いから、1999年に有機農法での養豚を開始しました。農場の土壌に住む微生物、そこで育つ植物や作物、それを飼料として食する動物達の命を重んじて農場を運営されています。
現在、ベッカーレーンオーガニックファームの豚舎では、100頭の親豚が4つのグループに分けて飼育されており、豚の出産の周期(約6週間)に合わせてタイミングよく出産できるように管理されています。
点在する箱は、出産が近づいた母豚1頭ごとに与えられる分娩小屋です。
分娩小屋の中には、有機麦わらが敷き詰められており、衛生的かつ健康的に育てる環境が整えられています。冬にはマイナス20度にもなるアイオワ州ですが、この有機麦わらと豚自身の持つ体温で温かく過ごすことができます。母豚は一度の分娩で約7頭の子豚を出産し、出産後約6週間(42日間)子豚と一緒に過ごします。
一般的な養豚では約4週間(28日間)で母豚と子豚は離されます。一方、ベッカーレーンオーガニックファームでは免疫力の強い豚に育てるため、子豚が親の愛情を受ける期間を一般的な養豚より長く設定しています。
定期的に分娩小屋の場所を変えるなどして地面の衛生にも配慮がなされています。また、使用後の有機麦わらは発酵工程を経て畑の有機肥料として再利用されています。
アメリカのオーガニック認証であるUSDAの基準では、成長促進を目的としたホルモン剤や抗生物質の使用は禁止されているため、もちろんベッカーレーンオーガニックファームにおいても使用されていません。毎日、豚の様子を確認しながら体調管理をしています。ベッカーさんは、豚の顔を見れば体調の良し悪しがわかるそうです。
豚たちに与えられる飼料は、約27万坪の自社農場で有機栽培された大豆・トウモロコシ・ライ麦・大麦の4種類の穀物。
USDAの基準では、飼料は全てオーガニックであることが定められており、飼料にかかるコストと労力がオーガニックポークを飼育する中でも一番大変とのこと。
餌の配合割合によって脂身に違いが出るため、デンマークで勉強した独自の配合で有機ライ麦と有機大麦を与えているそうです。
豚たちの飲水は、地下70メートルから汲み上げた地下水。将来の環境への影響にも配慮し、地下水の汚染を守る為に窒素系の肥料は使用せず飼料から養豚まで一貫した循環型農業を実践されています。
自社農場で有機栽培した穀物飼料の他に、農場に自生しているクローバーやフェスク、ライグラス、ヤナギイチゴなどを食べていることも、美味しいオーガニックポークになる理由だとお話されていました。
豚たちは限りなく自然に近い状態で、自由に歩き回って草や餌を食べ、好きな時に水を飲み、気のおもむくままに過ごしています。一般的には、ストレスを感じた豚同士が互いのしっぽをかじってしまうのを防ぐため、あらかじめ豚のしっぽを切断することが多いのですが、アニマルウェルフェアの認定も受けているベッカーレーンオーガニックファームでは、豚のしっぽを切断することはありません。
また、ベッカーさんは、豚肉の美味しさには、親豚のDNAも深く関係していると考えています。そのため、親豚は柔らかい肉質と美味しい脂身が特徴である黒豚のバークシャー種と出産能力の高いチェスターホワイトを掛け合わせています。このかけ合わせによって、脂身と赤身のバランスが良く、適度な甘みのある肉質になるそうです。
BROWN CAFE/BARのシェフの山田さんには、ベッカーさんの愛情をたっぷり受けて育ったオーガニックポークを調理していただきました。
シンプルに味わえ、ご家庭でも再現いただけるようにと、オーガニックポークの「冷しゃぶサラダ」と「生姜焼丼」のメニューをご提案いただきました。(ビオ・マルシェの宅配カタログからレシピをご使用いただきました。)
脂身が口の中で溶け、甘みのある赤身とのバランスも良いオーガニックポークを存分に味わいました。
ご参加いただいたお客様の2歳の娘さんもペロリと完食!食べるのが大好きだという女の子が美味しそうにオーガニックポークを頬張る姿を、ベッカーさんもシェフの山田さんも微笑ましく嬉しそうに眺めておられました。
「環境問題が重視される昨今、レストランでもストロー1本から削減していこうとしている中で、自然循環型の農業に取り組まれているベッカーさんにはこれからも是非頑張っていただきたい」とエールを送る、シェフの山田さんでした。